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Jリーグ 7年前

Jリーグ新規参入クラブは専スタ構想が義務化? 紛糾した理事会。タブーなき改革への議論

text by 藤江直人 photo by Asuka Kudo / Football Channel, Getty Images

クラブライセンス制度が足かせとなっている?

 クラブライセンス制度の存在がJクラブの健全経営に大きく寄与していると、村井チェアマンも認めている。一方で導入決定から5年目を迎える2017年を、一部を見直す機会となると視野に入れてもいる。

「クラブライセンス制度があるがために、たとえばリーグとして求めている投資型のクラブ経営者を生み出さないとなっているのであれば、もう一度しっかりと議論しようと。赤字を出さないクラブが本当にいいクラブなのかと言うと、恒常的に赤字を出し続けるクラブは絶対にダメです。いつかは債務超過になって、個人でいう自己破産の状態に陥ってしまうので。

 なので、恒常的な赤字のガイドラインを、クラブライセンス策定の段階では3年と置きました。あくまで3年という期間に意味があったわけではなく、恒常的な赤字状態を3年と見なしました。本当にダメなのは債務超過であり、そうならないために3期連続赤字という基準も設けて、ダブルで運用してきた結果として3期連続赤字もなくなり、債務超過もなくなったわけです」

 もっとも、ここにきてJクラブのなかに、村井チェアマンをして「構造的な地殻変動」と言わしめる状況が発生してきてもいる。自己資本あるいは内部留保を大きく積み立て、3期連続赤字を計上しても債務超過には陥らないクラブが出てきた点だ。同チェアマンが続ける。

「一度赤字を出せば、もし次の年度に強気の事業計画を立てて2期連続の赤字になったら“リーチ”がかかってしまう。クラブというのは“リーチ”がかからないように、赤字の次の年は絶対に黒字にする。もっとも、赤字とはさまざまな外的要因や環境の変化で起こりうることでもあり、それで2期目にいわゆる“安パイ”の経営をするようになれば、本当に投資ができるのか、という意見もある。

 これは意見がまだ未成熟な状態だけれども、クラブライセンス制度を決めたからもう議論しない、ということはない。結果として議論百出のうえで現状のままとなるかもしれないし、自己資本が大きな、たとえるなら“皮下脂肪”が厚いクラブは条件つきで3期連続が5期連続に、という意見が出て来るかもしれない。このあたりは議論をしてみないことには、何とも言えないので」

 年明けに発足させる予定の検討委員会には、Jクラブの実行委員や財務関係の担当者に、会計士をはじめとする財務のプロフェッショナルら外部の有識者も加える。来年いっぱいをかけて、Jリーグあるべき姿をしっかりと、オープンに議論していく予定だ。

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