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Jリーグ 7年前

Jリーグ新規参入クラブは専スタ構想が義務化? 紛糾した理事会。タブーなき改革への議論

イギリスの動画配信大手パフォーム・グループが提供するスポーツのライブストリーミングサービス『DAZN(ダ・ゾーン)』と締結した、10年におよぶ放映権料契約をいよいよ来年からスタートさせるJリーグ。もっとも、総額約2100億円にのぼるビッグマネーは「始めの一歩」にすぎない。日本サッカー界の未来をさらに明るいものとするために、村井満チェアマンはまもなく訪れる2017年において、タブーなき改革へ向けた議論を展開していくことを明言している。(取材・文・藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Asuka Kudo / Football Channel, Getty Images

理事会を紛糾させたマネージャーからの起案

Jリーグの村井満チェアマン
Jリーグの村井満チェアマン【写真:工藤明日香/フットボールチャンネル】

 Jリーグの村井満チェアマン、担当理事、Jクラブの代表取締役及び理事長で構成され、理事会から委嘱された事項を協議・決定する月例の実行委員会がおもむろに紛糾したのは、11月8日のことだった。

 きっかけは村井チェアマンをして「高目の直球を投げた」と言わしめた、Jリーグ経営管理本部・クラブ経営戦略部スタジアム推進グループの佐藤仁司マネージャーによる起案だった。

 要約すれば「今後において百年構想クラブ入りを希望およびJFLからJ3入りするクラブは、サッカー専用スタジアムの構想があることを前提とする」となる起案に対する、実行委員の反応はさまざまだった。

「当該クラブのホームタウンとなる自治体からすると『J1でもJ2でも達成されていないのに、これから入ろうとするところへ、なぜそんなに厳しい条件を設けるのか』と反発されるのではないか」

「これからのクラブだからこそ、スタジアム基準を変えていくことが日本サッカー界のこの先、10年、20年を変えていく非常に大きなテーマになるのではないか」

「陸上トラックがある競技場をホームスタジアムとしている、既存のJ1、J2およびJ3クラブの環境整備の見直しも積極的に入れて、議論していくべきなのではないか」

「自治体と長期の年月をかけて交渉してきて、陸上トラックがあるとはいえ、改築に税金を投入してきた競技場もあるなかで、それをまた変えようというのは拙速なのではないか」

 積極論者と慎重論者がそれぞれ意見を応酬させるなかで、起案は多数決を取ることなく、11月16日の理事会へと諮られた。しかし、ここでも結論が出されるには至らなかった。

 起案そのものは「サッカー専用スタジアムが既存のものとしてある」ではなく、「建設へ向けた議論が行われている」や「建設計画がある程度行政側と確認できている」といったレベルにとどめられた。

 それでも日本サッカー界においてはハードルが高いと思われがちだが、実は将来のJリーグ入りを目指す百年構想クラブのなかで、すでにサッカー専用スタジアムをホームとしているクラブがある。

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