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Jリーグ 7年前

Jリーグクラブライセンス事務局の暴挙。不可解な人事介入を追う【後編】

text by 木村元彦 photo by Getty Images

今西、服部への名誉回復を

恩田
恩田氏【写真:Getty Images】

 恩田社長は故郷のために仕事をしたいと情熱を傾けたが、気の毒なことに就任一年目にALSを発症し、志半ば、2年で退任を余儀なくされた。恩田の社長在任時代を振り返るWeb Sportivaのコラム「恩田社長の600日」の特別編「解任されたラモス監督の功罪」に幾つか興味深い文章がある。

 恩田の孤独さが垣間見られる文章である。知事が社長の頭越しに直接、監督と繋がることで不自由な身体を押して尽力していた恩田をどれだけ傷つけていたことか。

 また、恩田は在任中の最大の怒りとして、本来Jリーガーの使命のひとつである地域貢献活動のお礼が少なすぎると選手が言ってきたことに対しての怒りも書いている。「そんなことを言っている選手はすぐその場で首にしてやる」と叫んだという。

 これなどは、地域に応援される人間になれと言い続けて、地域貢献活動でサッカー教室のみならずDVから逃れてきた母子支援施設などにも選手を送っていた今西時代の薫陶がクラブの中でもはや途切れてしまったことを意味している。

 果たしてFC岐阜はこの4年で予算は二倍になったが、それに比例して二倍幸福になっただろうか。

 クラブライセンス制度における問題提起を続けてきた。いよいよ、10月には青影ライセンサーが取材を受けて下さることになった。真摯に臨みたい。(編注:実際に青影宜典クラブライセンスマネージャーにインタビューした記事は現在発売中の『フットボール批評issue14』に掲載されています)

 青影氏には前任者のようなライセンスによるパワーハラスメントが今後は二度と起きないように強く祈念する。そして本稿の最大の目的であるが、Jリーグは今西、服部に対して行った人事介入を反省し、名誉回復を施すことを望む。今西は長きに渡る選手・指導者の人材育成の功績をたたえられて2016年度のスポーツ学会大賞を受賞している。

 育てた監督だけでも森保(広島)、風間(名古屋)、小林(清水)、高木(長崎)、上野(山口)、森山(JFA)と数にいとまが無い。CLAの人事介入によってFC岐阜を追われて4年。この間、もしもまだ今西がサッカー界にいたのならば、その薫陶を受けた人物が裏方も含めて多数育っていたであろう。そのことが残念でならない。

※本記事は『フットボール批評issue13』(9月6日発売号)の記事全文を一部再編集して掲載しています。

(取材・文:木村元彦)

【了】

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