Jリーグクラブライセンス事務局の暴挙。不可解な人事介入を追う【後編】

『フットボール批評』では2012年のFC岐阜をめぐるJリーグクラブライセンス事務局の暴挙を2号にわたって告発してきた。その反響は大きく、より多くの人に知っていただく必要のある記事のため、今回特別に『フットボール批評issue13』(9月6日発売号)に掲載された第二弾を一部編集して全文公開する。(取材・文:木村元彦)

2017年01月08日(Sun)10時00分配信

text by 木村元彦 photo Getty Images
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理不尽な解任要求。今西と服部を排除したかっただけ?

FC岐阜
FC岐阜【写真:Getty Images】

 起こってしまった大きな問題を検証しながら、クラブライセンス交付規則を再度見直してみよう。前編でも伝えたとおり、2012年8月、Jリーグのクラブライセンス事務局(以下CLA)はライセンス制度を盾にとりFC岐阜の今西和男(当時社長)、服部順一(当時GM)の解任を迫る文書を当時の筆頭株主である岐阜県庁に送りつけた。

 このままでは交付しないという結論がいきなり冒頭にあり、理由は「経営に消極的」という極めて主観的な評価のみが記されているに過ぎなかった。岐阜県内の経済人が口を揃えて証言しているが、あのときは資金ショート回避の1億5000万円の調達も岐阜、西濃の両地区を合わせた地元財界の前向きな協力でメドが立ち、ホームタウン(地域貢献)活動数は相変わらずJリーグすべてのチームの中でトップを記録していた。今西と服部の岐阜県内での活動をきちんと精査すれば、消極的どころかどれだけ精力的に活動していたかが理解できたはずである。

 この解任はパワーを背景にした居丈高なCLAに従順ではない今西と服部をただ排除したかったに過ぎない、と見る他の地方クラブ関係者が多々いる。

 県庁と市に当てて名指しでクラブの人事介入をすること自体、大きな問題であるが、その上、服部は経営者でもないのだから、まったく合理性が無い解任要求であった。

 一般的に行政が民間企業にこんな理不尽な処分をしたことが明るみに出て民事訴訟を起こされたら、大きな問題に発展する。ここには「CLAを相手には訴えてこないだろう」という奢りがあったことが透けて見える。Jリーグが掲げる「リスペクト」を欠く行為である。

 なぜこんなことがまかり通ってしまったのか。ひとことで言えば、大河正明前CLAライセンスマネージャーが設計した制度自体が他のチェックを許さない独裁規定であったことにある。交付規則を紐解けば第3章「ライセンス交付機関」に各クラブの環境、財務状況などを審査し、クラブライセンスを交付するのはFIBという第一審議機関ということになっている。そしてその裁定に不服があればABという上訴機関に再度審査を訴えられるとなっている。

 行政と司法は分離されていなければ、公正なジャッジは出来ない。当然ながらCLAとこのFIB、ABの三者はそれぞれ互いに独立した機関でなければならず、実際理念的にそう明記されている。ところが、このFIBとABの構成員はCLAの推薦となっているのだ。検察が裁判官を推薦するだろうか。ホームチームが公式試合のレフェリーの任命をするだろうか。まずこの段階で独立性が担保されているとは言い難い。

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