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Jリーグ 7年前

湘南のアイデンティティーを託された2人のホープ。幼稚園時からともにプレー、物語は新章へ

text by 藤江直人 photo by Getty Images

先にプロ契約を勝ち取ったのは齊藤

 そろってユースへの昇格を果たした2014シーズン。秋に開催された長崎国体で、2人は神奈川県選抜に名前を連ねる。少年男子の部を制したチームで齊藤はレギュラー、石原は途中出場が多かった。

 翌2015年の6月になると、齊藤がU‐16日本代表に初めて招集された。8月には石原もU‐16日本代表入りを果たし、ともに日の丸を背負ったが、竹馬の友に「逆転された」という思いは強かった。

 そして、ユースでも最上級生になった2016年5月に、齊藤がプロ契約を勝ち取る。通っていた高校を定時制のそれに代えて、新たな道を歩み始めた盟友の背中を見つめながら、石原は必ず追いつこうと誓いを立てた。

「ミツキ本人には直接言っていないけど、かなり悔しかったですね。別に親友とかライバルという関係ではなく、ごく自然の間柄というか、そばにいるのが当たり前という感じだったので」

 齊藤は「32番」を背負い、リーグ戦、ヤマザキナビスコカップ予選リーグにそれぞれ5試合ずつ出場。ボランチやシャドーのポジションで、165センチ、61キロの小さな体を躍動させた。

「自分の特徴でもある、ボールを奪うという部分では少しずつ自信にはなってきているのかなと。あまり得意としていなかった、ボールを受けるという部分もだんだんと苦ではなくなってきた。そういうところでは経験を積めたと思いますけど、まだまだ足りないし、技術や判断力の速さはもっと磨いていかないといけない」

 目標としている選手がいる。ジュニアユースやユースの一員としてJリーガーを夢見ながら、トップチームの心臓部を担っていたボランチの永木亮太(現鹿島アントラーズ)の一挙手一投足を自然と追いかけた。

 自分の武器だと自負するボール奪取力。前へ進む力の源となる豊富なスタミナと走力。曹貴裁監督のもとで育まれてきた「湘南スタイル」のDNAが育成組織にもしっかりと浸透しているなかで、ベルマーレのアイデンティティーを誰よりも色濃く受け継いだ齊藤は今シーズンから「16番」を与えられた。

「昨シーズンの半分になった、という感じですね。背番号はあまり意識しませんけど、将来的には『6番』を背負える選手になりたい、という思いはあります。自分にとって目標の一人が(永木)亮太さんですし、昨シーズンの終盤は鹿島だけではなく、A代表にも選ばれて活躍していた。盗めるものは多いし、いつかは超えていきたい」

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