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岡崎慎司、泥臭さ以上に際立つ適応力。プレミア制覇を経験した非エリート、さらなる成長へ【海外組の真価~日本人選手の現在地】

text by 元川悦子 photo by Getty Images

マインツでは1トップで主に出場。全力でやり抜いて出した結果

岡崎慎司
マインツでは1トップとして2年連続の2ケタ得点を挙げた【写真:Getty Images】

 だがFWというのは、得意な形だけを繰り返していたら必ずと言っていいほど相手に読まれる。岡崎はその厳しい現実を南アW杯での先発落ちによって痛感する。

「(代表で)はワンタッチでゴールを決めるってのを求められることが多かったけど、選択肢1つだけだと世界に出た時に困った。だからこそ、前を向いて仕掛けていくことが大事だと思った」と2010年夏、彼は自らに言い聞かせるようにコメント。ドリブル突破や相手を背負いながらの反転など、ゴールのバリエーションを増やそうと必死にトライしつつあった。

 こうした地道な努力が大きく花開いたのが、2013年夏に移籍したマインツ時代だろう。2011年アジアカップ(カタール)制覇の直後に赴いたシュトゥットガルト、アルベルト・ザッケローニ監督率いる日本代表では右サイドでの起用がメインで、思うようにゴールへ突き進むことはできなかったが、マインツでは1トップでコンスタントに出場。13/14シーズンに15点、翌14/15シーズンも12点を奪うことに成功し、2年連続2ケタゴールという偉業を達成する。

 これは高原直泰(沖縄SV)も香川真司(ドルトムント)もなし得なかったことだ。最前線からの激しい守備に加え、相手を背負って起点を作る仕事も担いつつゴール前へ飛び込んでいく。その幅広い仕事を全力でやり抜いた結果が数字に表れたのだ。

 岡崎はマインツ1年目に自身の変化をこう語っていたことがある。

「マインツでのゴールは今までの自分にないパターンばっかりなんです。左右の足もあったし、持ち込んだゴールもある。日本ではクロスから決めるイメージが80%くらいだった。時間はかかったけど、ここまで自分がやってきたことは間違いじゃなかったって思えるのは大きいですね。正直、このチームでやってると相手が大したことなくてもチャンスが少ないんで、そういう中でよく2ケタ取れたなと思います」

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