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Jリーグ 7年前

鹿島、新黄金期への第一歩。配分金の増額に合わせた強化プラン。勝ち組のサイクルへ

text by 藤江直人 photo by Getty Images

賞金と分配金の増額。勝ち組のサイクルに向けて

 永木が言及した「競争」こそが、2017シーズンのアントラーズが掲げたテーマだ。強化の最高責任者に就いて22年目を迎える鈴木満常務取締役強化部長は、近年にない積極的な補強を行った今オフの狙いをこう明かしたことがある。

「チーム内の競争を激しくするような補強をして、上手くすれば勝てるというチームから、力でタイトルを勝ち取れるチームを目指していこうということ」

 二冠を達成したといっても、昨シーズンはセカンドステージで11位に低迷。連覇を狙ったYBCルヴァンカップではグループリーグで敗退している。短期決戦のチャンピオンシップへ向けて特にメンタル面を鼓舞させて、40日間で10試合を戦った終盤戦の過密スケジュールで8勝2敗という結果を残した。

 いわば不安定さをも同居させるチーム状態から、無双のオーラを身にまとう黄金時代へ。チーム力をさらにアップさせるために白羽の矢を立てられたのがペドロ・ジュニオール、レオ・シルバ、クォン・スンテ、三竿、レッズ戦には出場しなかった元ブラジル代表MFレアンドロ、リオデジャネイロ五輪の代表候補だったFW金森健志(アビスパ福岡)といった新戦力だった。

 鈴木常務取締役が見すえるのはJ1の連覇。今シーズンの頂点に立てば、昨シーズンとは桁が異なる収入を得られる。ほぼ倍増の3億5000万円となった均等配分金に加えて、3倍の3億円となった優勝賞金、そして3年間で総額15億5000万円が支給される理念強化配分金も新設された。

 トータルで22億円もの増収となる先に、鈴木常務取締役はこんな青写真を描いていた。

「次のシーズン(2017年)でも勝てばいろいろな配分金や賞金も入ってきて、投資というか、いいサイクルが生まれる。ウチとジュビロ磐田が争っていた時代みたいに、頭が抜きん出たチームにしたいという思いがあるので。勝って勝ち組に入るのとそうじゃないのとでは、どんどん差がついていく。その意味でも、少し無理をしてでもやらなきゃいけない」

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