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Jリーグ 7年前

FC東京にもたらされた“化学反応”。高萩洋次郎と橋本拳人、ボランチが体現する「泥臭さ」

5人の日本代表経験者を加える大型補強を敢行したFC東京が、秘密に包まれてきたベールを脱いだ。昨シーズンの二冠王者・鹿島アントラーズのホームに乗り込んだ25日のJ1開幕戦。FCソウルから加入した高萩洋次郎、リオデジャネイロ五輪代表候補の橋本拳人で組んだボランチがアントラーズの攻撃を幾度となく遮断。昨シーズンまでのFC東京にはない泥臭さを発揮する源泉となり、2007年6月30日を最後に遠ざかっていた鬼門の地・カシマスタジアムでの白星発進に導いた。(取材・文・藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

国外経験を経て変化したプレースタイル

FC東京に加入した高萩洋次郎
FC東京に加入した高萩洋次郎【写真:Getty Images】

 肩まで伸びる長髪を後ろに束ねて、その上から黒いバンダナのようなかぶり物を巻く。ピッチで異彩を放つからこそ、FC東京に新加入した高萩洋次郎の一挙手一投足に視線が集まった。

 王者・鹿島アントラーズのホームに乗り込んだ25日のJ1開幕戦。ファンタジスタと呼ばれた30歳が見せた存在感は、2014シーズンまでプレーしたサンフレッチェ広島時代とはまったく異なるものだった。

「セカンドボールを拾うことが、僕たちの仕事だと思っていた。相手に拾われると全員が自陣まで戻らなきゃいけない部分が出てくるので、セカンドボールをしっかり拾えたことがよかったと思う」

 華麗ではなく泥臭く。柔らかく、というよりも激しく。中盤の底でハードワークに徹し、大声に身ぶり手ぶりを交えて味方を動かす。海外でプレーした2年間が、高萩に強さを身にまとわせた。

 2015年が明けて間もなく、ユースから在籍してきたサンフレッチェから前年のACLを制したウェスタン・シドニー・ワンダラーズFCへ移籍。半年後にはFCソウルへ活躍の場を移した。

 オーストラリアと韓国。異国の地は「上手い」だけでは受け入れてくれない。ましてや、国内リーグだけでなくACLをも戦う強豪で、未知の相手と「戦う」ことの重要性を肌で感じ取ったのだろう。

 高萩の獲得へ向けて昨年に幾度となく韓国に足を運び、変わりつつあったプレースタイルを視察してきたFC東京の立石敬之ゼネラルマネージャー(GM)が満足そうな表情を浮かべる。

「僕たちがサンフレッチェ広島時代の彼にもっているイメージからすれば、もう少し天才肌的な選手だったんですけど。いまはしっかりゲームを落ち着かせられる。少し大人になって、いろいろなものが見えているんじゃないかと思いますよね」

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