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Jリーグ 7年前

FC東京にもたらされた“化学反応”。高萩洋次郎と橋本拳人、ボランチが体現する「泥臭さ」

text by 藤江直人 photo by Getty Images

高萩とのバランスを取っていた相棒・橋本の働き

 立石GMが言及した「天才肌」とはイコール、気分屋的な要素が濃かったことを物語っている。試合中に見せていた隙は消えたが、だからといって稀有なパスセンスまでが影を潜めたわけではない。

「味方のディフェンスラインとフォワードの間に入って、ボールを収めるところと、速く攻めるところとゆっくり攻めるところの使い分けは、つなぐ役というものは常に意識していた」

 サンフレッチェでは独特の「3‐6‐1システム」でダブルシャドーの一角としてプレー。2012シーズンの初優勝に貢献し、背番号を「10」に代えた翌シーズンも連覇の原動力になった。

 ワントップでゴールを量産した佐藤寿人(現名古屋グランパス)は、当時開通させたホットラインが川崎フロンターレから移った大久保嘉人との間で再現させるのではと、ファンのような感覚で期待する。

「(高萩)洋次郎が入ったことで、(大久保)嘉人とホットラインがつながると期待しています。実際に洋次郎のパスを受けてきた身としては、嘉人にとって最高のパートナーになるんじゃないかと思います」

 アントラーズ戦ではお互いの特徴をまだわかり合っていないこともあり、決定的な場面は訪れなかった。もっとも大久保も手応えを感じているからか、「開幕戦なので完璧なチームなんてどこにない」と豪快に笑い飛ばしながら心配無用を強調した。

 一方で高萩と既存の選手たちが融合し、チームを進化させるために欠かせない「化学反応」が早くも起こりはじめている。たとえば橋本拳人と組んだボランチは球際における強さと中盤における守備力で、アントラーズの攻撃を封じ込める原動力になった。

「ポジショニングのところで、常にバランスを意識していました。(高萩)洋次郎君が前へ行ったときには僕が後ろに残るとか、そういう基本的なところをゲームのなかで確認し合いながらプレーできていたので、バランスを崩すことなく90分間戦えたと思います」

 リオデジャネイロ五輪の代表候補に最後まで残った23歳。ボランチを本職としながらサイドバック、サイドハーフだけでなく、期限付き移籍していたロアッソ熊本では181センチ、74キロのサイズを生かし、センターバックでもプレーしたことがある。

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