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Jリーグ 7年前

横浜F消滅、サポーターが直面した現実。受け皿としての横浜FC、破綻した再建の方針【フリューゲルスの悲劇:20年目の真実】

シリーズ:フリューゲルスの悲劇:20年目の真実 text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

喜んで署名をしてくれた鹿島のブラジル人選手たち

 あと、その年のトヨタカップ(レアル・マドリー対ヴァスコ・ダ・ガマ)で署名活動をしていたら、バックスタンドでアントラーズの選手やスタッフが観戦していたんですね。最初、ビスマルクに気がついて、よく見たらジョルジーニョもいるし、フィジコの里内(猛)さんもいるし。

 事情を説明したら、選手の家族までもが喜んで署名してくれました。アントラーズのブラジル人選手は、ウチのジーニョやサンパイオなんかと仲が良かったし、名勝負を繰り広げてきたこともあったので、いろいろ励ましの言葉もいただきました。

 そうやって集めた署名は、37万人くらいの段階でいったん段ボール箱に詰めてJリーグに運んでいった記憶がありますね。最終的には62万人分くらい集まりましたかね。

 それでも12月くらいになると、川淵さんが言うような「何かが変わるかもしれない」というのは、厳しいんじゃないかと思うようになっていました。それでも「何か協力したい」と思うファンの中には、署名活動をするしかチームに貢献できないという人も結構いて、言葉は悪いけど「エネルギーの発散」みたいになっていたところはあったと思います。

(天皇杯が始まってからは)「絶対に負けない」って信じていました。根拠ですか? そんなのないですよ(笑)。そう思いたいから、信じていたんでしょうね。

 その頃、私は「サポーター代表」として、よくTVのインタビューを受けることがあったんですけど「今日、負けたらどうするんですか?」とか聞いてくるんですよ。こいつ、失礼だなって思って(怒)。

 でも、無理もないと思います。準々決勝がジュビロで、準決勝がアントラーズ。この年のファーストステージとセカンドステージの優勝チームでしたから。

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