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日本代表 9年前

倉田秋、非常事態で高まる期待。遠藤と今野の檄を糧にG大阪の苦労人が初の国内代表戦へ

text by 藤江直人 photo by Shinya Tanaka, Getty Images

28歳の苦労人を奮い立たせたエール

UAE戦で途中出場したMF倉田秋
UAE戦で途中出場したMF倉田秋【写真:田中伸弥】

 尊敬する2人の大先輩から送られた檄が、28歳の苦労人をさらに奮い立たせる。ひとつは所属するガンバ大阪のキャプテン、MF遠藤保仁から届いた無料通話アプリ『LINE』によるメッセージだった。

 敵地アル・アインで難敵UAE(アラブ首長国連邦)代表との大一番に臨む直前。約1年7ヶ月ぶりに代表復帰を果たしていたMF倉田秋のスマートフォンが、小刻みに震えた。

「頑張れよ」

 プレースタイルと同じく、シンプルでいっさいの無駄が省かれた文面。もっとも、これだけで十分だった。5時間もの時差と国境とを超えて届いたエールに、倉田は笑顔を浮かべる。

「ヤット(遠藤)さんらしく単純明快だったけど、すごく珍しいことなので」

 ハッザーア・ビン・ザーイド・スタジアムに到着し、足を踏み入れたロッカールーム。用意されていた青いユニフォームの背中には自身の名前と、遠藤の象徴でもあった「7番」が刻まれていた。

「ヤットさんがずっとつけていた番号なので。ヤットさんも代表復帰をあきらめていないはずだし、何とも言えない感じですけど、やっぱり同じチームの自分が上手いこと引き継いでいけたらいいかなと」

 寡黙な男だけに口を突く言葉は重く、決意が伝わってくる。2点をリードして迎えた後半26分。最初の交代のカードとして、MF香川真司(ボルシア・ドルトムント)に代わって投入された。

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