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日本代表 7年前

倉田秋、非常事態で高まる期待。遠藤と今野の檄を糧にG大阪の苦労人が初の国内代表戦へ

text by 藤江直人 photo by Shinya Tanaka, Getty Images

「いままで腐らずにやってきたおかげかな」

 ポジションはインサイドハーフ。すぐ近くには同じくガンバの先輩、今野泰幸がいる。2年ぶりの代表戦ながら、後半7分には追加点まであげている絶好調の34歳とともに、ゲームを締める役割を担った。

「僕にはコンちゃん(今野)みたいなプレーはできないけど、守備で決められたことをしっかりとやって、あとは攻撃で求められるプラスアルファを出していこうと。練習の段階からこのチームでやれることはわかったというか、自信にもなっていたので。それを監督も見ていて、最初の交代で使ってくれたと思う」

 不動のキャプテン、MF長谷部誠(フランクフルト)を故障で欠く非常事態のなかで、救世主的な活躍を見せた今野も帰国後に左足小指の骨折が判明。無念の戦線離脱を余儀なくされた。

 埼玉県内のグラウンドで、UAEから帰国後の初練習が行われた25日。開始前に組まれた円陣でチームメイトたちに挨拶した今野は、両肩をポンポンと叩いてきた倉田に熱い思いを託した。

「オレの分まで頑張ってくれ」

 UAE戦は国内組だけで臨んだ2015年8月5日の韓国代表との東アジアカップ以来、倉田にとって2度目の国際Aマッチだった。このときは左ウイングのポジションでプレーしている。

「ガンバでもけっこういろいろなポジションでやっているので、どこで出てもやれる自信がいまはある。与えられたポジションで、自分がもっているものを出せればいいかなと」

 攻守両面でアグレッシブなプレーを披露し、無失点のまま大一番を終えた。違和感なくヨーロッパ組もプレーするピッチにとけ込んだように映ったが、心臓の高鳴りは止まらなかったと苦笑いする。

「20分ちょっと出られた経験を積めたことで、何か緊張感から解き放たれたというか。UAE戦は久々に緊張したので。代表は一番痺れる試合ができる場所だと思っているし、そういう試合がめちゃ好きなので。ホンマにずっと目指してきたし、いままで腐らずにやってきたおかげかなと思っています」

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