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香川真司 7年前

香川が語る「保ちにくさ」の意味。ドルトムント対ケルンで表出したビッグゲーム後の緩み

text by 本田千尋 photo by Getty Images

必然だったドルトムントの左サイド攻撃

 もちろんドルトムントが緩んでいたわけではない。「前半」は、左サイドから何度もチャンスを作り出した。

 12分、マルセル・シュメルツァーからのクロス。ピエール=エメリク・オーバメヤンがヘディングで叩きつける。ゴールの右に外れる。

 14分、マルコ・ロイスからペナルティエリア内の香川にパスが出る。香川の折り返し。ファーでオーバメヤンが押し込む。しかし香川がオフサイドの判定。

 15分。カウンター。香川がロイスにスルーパスを送る。加速するロイス。エリア内で右にいるオーバメヤンに折り返す。しかしネベン・スボティチにカットされる。

 ドルトムントがボールをサイドに出せば、ケルンは中盤の選手が左右にズレて対応した。しかし攻撃的MFのミロシュ・ヨイッチがいる右よりも、守備的MFのヨナス・ヘクターがいる左の方で、ケルンはより厚い守備を敷いてきた。

 3トップでは右のアルチョムス・ルドネフスよりも、左のレオナルド・ビッテンコートの方が、やはり連動した守備は得意である。ヘクターは最終ラインまで下がって5バックも形成した。つまりドルトムントからすれば、自分たちの左サイドから攻めることは自然な流れだった。

 香川は振り返る。

「マルコ(・ロイス)とかで起点を作った方が、そこでボールを回した方がいい距離感で、チャンスになると思ったので。右は割と回っていなかったので、相手の左サイドバックもいい選手ですし、そういう意味では左を中心に、コンビネーションからっていうのはありました」

 しかし、ドルトムントは立て続けに生み出した決定機をモノに出来なかった。0-0で前半を折り返す。香川によれば、ハーフタイムにトーマス・トゥヘル監督は「良い戦いができている」と言っていたという。たしかにゴールを割ることはできなかったが、チャンスは演出できていた。左サイドを起点にボールを回し続ければ、後半には得点を奪えると考えたとしても不思議ではない。

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