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Jリーグ 7年前

15歳久保建英。J1デビューで見えた「天才」の成長に必要な2つの課題。底知れぬ才能潰さぬために

ルヴァンカップでトップチームデビューを飾った久保建英。FKを獲得し、自らそれを蹴るなど才能の片鱗を見せつけた。だが、彼はまだ15歳。ポテンシャルを十分に引き出すためには、成り行きに任せるのではなく、しっかりとしたプランとそれに合わせた努力が必要だ。この試合の短い時間でもそのポイントは見つかった。(取材・文:元川悦子)

text by 元川悦子 photo by Getty Images

堂々たるデビューを飾った久保。小野、高萩らも賛辞

久保建英
J1デビューを飾った久保建英【写真:Getty Images】

 大型連休真っ只中の3日に行われたJリーグルヴァンカップ、FC東京対北海道コンサドーレ札幌戦。1万9123人を動員した東京・味の素スタジアムの熱気と興奮が最高潮に達したのが後半21分だった。

 背番号41をつけた久保建英が、前半31分に移籍後初ゴールを挙げた永井謙佑と代わってピッチに登場。森本貴幸(川崎)が2004年3月13日のジュビロ磐田戦でマークした15歳10か月6日というJ最年少出場記録を5ヶ月5日更新するという偉業を達成したのである。

 単に新記録を作っただけではない。この日の久保はファーストタッチでいきなり思い切りのよいシュートを放ち、ボールに絡もうという貪欲さを押し出した。中盤でボールを持てば、得意のドリブルで持ち上がって阿部拓馬やピーター・ウタカにパスを出し、自らリターンを受けようと前線に走り込み、積極的プレスでボールを奪いに行くなど、「ゴールに直結する仕事をしたい」という強い意志を鮮明にしていたのだ。

 最大の見せ場は後半41分の直接FK。自らのドリブシュートで札幌DF進藤亮佑のファウルを誘い、ペナルティエリアやや外側で得た絶好のチャンス。阿部や高萩洋次郎、東慶悟は「蹴りたい人が蹴ればいい」と久保にチャンスを与えたという。

「『蹴っていいよ』と周りの人に後押ししてもらったんで、『じゃあ行きます』と。ニア上を狙えたらいいなと思って蹴りました」と15歳のテクニシャンは虎視眈々と点を取りに行ったが、ボールは惜しくも枠の上。昨年9月のAFC・U-16選手権(インド)初戦・ベトナム戦の先制弾再現はならなかった。「ボール2個分くらいズレちゃった。残念です」と本人も悔しさを吐露していた。

 しかし、対戦相手の大ベテラン・小野伸二は「見ていてゴールしちゃうんじゃないかっていうオーラが出ていた。あそこでFKを蹴らせてもらえるってことは、FC東京の選手たちも彼に対してリスペクトしているんじゃないかと思った」と22歳年下の若武者の風格に驚きを覚えた様子。

 直接FKを勧めた高萩も「今日見た感じだと特に問題ない。普通にプレーしていたし、注文をつけるような選手じゃないと思うから」と違和感なくプロでやれるレベルだと太鼓判を押していた。

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