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香川真司 7年前

香川、ビッグゲームでの先発に縁がない理由とは。チーム事情への理解と葛藤

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ベンチスタートは戦術的選択によるもの

ボルシア・ドルトムント
ホッフェンハイム戦を制したボルシア・ドルトムント【写真:Getty Images】

 なぜ対ホッフェンハイム戦でのトップ下は、香川ではなくデンベレが先発したのだろうか。単純にルディをマークするだけであれば、香川も十分にこなせる守備のタスクだ。それは80分にデンベレに代わって投入される際に、香川がトゥヘルから「ルディのワンボランチのところをしっかりマンマーク気味に付いて」という指示を与えられていたことからも伺える。もちろん香川がデンベレに比べてモチベーションが低く、目の前の試合に飢えていないから、ということはない。結局のところ、ホームにRBライプツィヒを迎えた試合と同様に、カウンター時のスピードという点で、若きフランス人FWがチョイスされたことになる。

 それは2人の選手間における優劣の問題というよりは、特定の戦術を選択する上でのタイプの違いということだ。なのでこのホッフェンハイム戦で先発ではなかったからといって、決して悲嘆に暮れる必要はない。香川も「あの3人はやっぱりこのチームの一番の強み」と認識している。試合中に「受け入れている自分がダメなのかな」と多少の葛藤はあれど、「しようがないと言わざるを得ない」のだという。

 そもそもドルトムントはCLも並行して過密日程を戦うチーム。選手の状態やチーム戦術を考慮しながら、ローテーションを組むことは当然だ。オーバメヤンやロイス、バイグルといった絶対的主軸、またCBソクラティスやGKビュルキといったDF陣以外の選手は、香川に限らず、先発とベンチを行ったり来たりしている。

 もっとも「今の現状はそれを受け入れなきゃいけないところもある」としつつ、香川が“特定の試合”でベンチスタートとなることに、何も感じていないわけではない。今季を振り返れば、自身のコンディションの状態やチーム戦術の影響があったとは言え、ビッグマッチでなかなか出場機会を得ることができなかった。前述のRBライプツィヒ戦、ポカール準決勝のバイエルン戦、CLのレアル・マドリード戦…いわゆる“大一番”にあまり縁がなかった。

「今季というよりも、去年もそうですけど、そこはすごく1つ悔しさはありますしね、まあまたポカールの決勝は最後にあるので、そういうビッグゲームで今シーズンをいい形で終えることができるように、頑張って、準備して、アピールしていきたいなと思います」

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