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Jリーグ 7年前

柏・細貝萌がもたらす「勝利の方程式」。7季ぶりのJ復帰、レイソルでの新しい挑戦

3試合連続の無失点を含めて4連勝中の柏レイソルに、サッカー版「勝利の方程式」が生まれつつある。3月下旬にシュトゥットガルトから電撃移籍し、7シーズンぶりにJリーグへ復帰したMF細貝萌が、リードしている展開でのクローザー役として機能しはじめている。現時点で起用された5試合の勝率は100パーセントを誇るが、元日本代表の31歳は濃密な経験を若いチームに伝え、自らもレベルアップを果たすことで、少年時代にファンだったレイソルをさらに高いステージへ導こうとしている。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「いまはクローザーのような役割」

細貝萌
柏レイソルのMF細貝萌【写真:Getty Images】

 ほとんどのメディアが引き揚げた日立柏サッカー場の取材エリアに、MF細貝萌は黄色いユニフォーム姿のままで現れた。セレッソ大阪との熱戦に沸きあがっていた、今シーズンで最多となる1万4015人の観衆で埋まったスタンドが、静寂さを取り戻してからかなりの時間が経過している。

 キャプテンのMF大谷秀和とともに、試合後のドーピング・コントロールの対象として選ばれた6日のJ1第10節。おそらくはチームスタッフから、数人のメディアが待っていると告げられていたのだろう。検査を終えてからロッカールームへは戻らずに、そのまま取材エリアへ足を運んでくれた。

「コンディション自体はそれほど悪くないんですけど、やはり試合の途中から出場することはすごく難しいので。いまはクローザーのような役割と言われていますけど、相手が毎回同じサッカーをしてくるわけでもないし、同じ選手がいるわけでもないので」

 試合を振り返る表情には疲労感と、ちょっぴりの達成感も同居させている。ブンデスリーガ2部のシュトゥットガルトから柏レイソルへの完全移籍が電撃的に発表され、浦和レッズに在籍していた2010年以来、実に7シーズンぶりとなるJリーグへの復帰が決まったのは3月下旬だった。

 以来、J1の舞台では、後半31分からピッチに立ったセレッソ戦を含めて、5試合すべてで途中出場を果たしている。しかも、1‐1の同点だった4月16日のヴィッセル神戸戦を除けば、すべてレイソルがリードしている試合終盤での起用が続いている。

 果たして、リードしている4試合はそのままシャットアウトで勝利。ヴィッセルにも勝ち越し点を許さずに、後半アディショナルタームに飛び出した、FW大津祐樹の劇的な決勝ゴールを導いた。現時点で、細貝がピッチ上にいるトータル75分間は、相手にまだ1点も与えていない。

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