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日本代表 7年前

【U20】余裕のイタリア、窮地の日本。運命の一戦で活かしたいウルグアイ戦の手痛い教訓

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「違いを見せつけられた。圧倒的な個の差があった」

ウルグアイ
中山が「スライディングできずにやられた」と語った2失点目【写真:Getty Images】

 実際に後半になると、徐々にウルグアイの選手たちの運動量が落ちていった。しかし、これも彼らにとっては想定内だったように思える。試合を見ていると”走れていない”のではなく、”あえてペースを落としている”ように見えてきたからだ。

 そもそもすでに1勝を挙げているウルグアイにとって、日本戦は引き分け以上であれば問題ない試合だった。グループステージ最終戦は確実に勝ち点3を計算できる南アフリカ戦ということもあり、彼らの視線はすでに決勝トーナメントをどうやりくりしていくかに向いていたように思える。

 運動量が落ちても、チーム全体で自陣に引いてブロックを敷き、組織で守ればウルグアイにとって1点はセーフティリード。そんな自信が垣間見られた。そして試合の中で再びギアを上げる方法も知っている。

 80分にニコラス・スキアパカッセとニコラス・デ・ラ・クルスを下げてホアキン・アルダイスとファン・ボセッリを投入。ウルグアイは前線を活性化することでもう一度ペースを上げ、後半アディショナルタイムにとどめを刺した。

 そのゴールを決めたのは左サイドバックのマティアス・オリベイラだった。試合終了間際にゴール前まで全速力で駆け上がってくる、あの爆発力は驚異的というほかない。要所でしっかりと力を出し切る術を持っていたのはウルグアイだった。

 20歳以下とは思えないクレバーさとフィジカル、技術を目の当たりにした原は「違いを見せつけられた。決定力の差だったり、組織で守ればやれない相手ではないと思いますけど、個で見たときに圧倒的な差があった」と、その衝撃を語る。

 運動量が落ち始めたら無理をせず、あえて相手に主導権を渡して我慢する時間帯を作る。そして相手も消耗してきたら、残りのエネルギーを解放してとどめを刺す。この意識をチーム全体で共有して、実践できるウルグアイの若手には怖さすら感じる。彼らが日々どれだけシビアな環境で勝負しているのか思い知らされた。

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