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Jリーグ 7年前

ウーゴと富樫、横浜の夕空に轟いた2人の咆哮。負傷と不調…“兄弟”が乗り越えたそれぞれの戦い

text by 舩木渉 photo by Getty Images

夏の移籍も考えたウーゴ。腐らず努力続けた成果実る

 川崎F戦を終えたウーゴの表情は明るかった。長いトンネルを抜けた充実感とでも言おうか。調子も上がり、徐々にチーム戦術の理解も進んでいる。ただ、開幕からの約3ヶ月間の苦しみやストレスは相当なものだったようだ。

「日本には試合に出るために来た。試合に出ないということは、僕を必要としているチームはヨーロッパにもあって、どこかに行くしかないと思った。これまでの期間にはいろいろなチームから話が来た。つい最近、2週間前にも話があったけど、クラブは『もうちょっとここでやってくれ』ということだった。結果を出していけばもっと話はくると思う。でも日本はすごくいい国で、いいサッカーをしていて、今はすごく幸せなんだ」

 ウーゴがこれまでにリーグ戦で決めた5ゴールのうち4ゴールは、サイドからのクロスにピンポイントで合わせたもの。彼が最も得意としている形であり、ストライカーとしての力が試される場面でもある。

 川崎F戦での一発は、ピッチ外でも仲の良いマルティノスからのアシストから生まれた。

「最初中央に入って、(右サイドの天野純から)クロスが来た時に自分の頭を越えると感じた。そしてマルティノスを見ると足が届くなと思って、ちょっと下がって横に動いて、ここに来るんだろうと予測して、合わせられてよかった」とウーゴは自身のゴールを振り返る。

 2試合連続で“親友”の得点を演出した痩身のウィンガーは「ウーゴはいいコースに入ってきた。彼がゴール前に見えて、後ろ気味にポジションをとった。とっさの判断で『そこに行け!』と足を出した。簡単ではなかったけど、本当に素晴らしいストライカーらしいゴールだった」と満面の笑みで語る。マルティノスと心は通じていた。

「ペナルティエリアに入る機会が増えれば、必然的にゴールも増えていく」と、ウーゴはさらなるゴール量産に自信をのぞかせる。ゴール前でこそ真価を発揮するストライカーの目はいつになく輝いていた。

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