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Jリーグ 7年前

ウーゴと富樫、横浜の夕空に轟いた2人の咆哮。負傷と不調…“兄弟”が乗り越えたそれぞれの戦い

text by 舩木渉 photo by Getty Images

3ヶ月ぶりに帰還した富樫、ファーストタッチで復帰祝い

富樫敬真
富樫敬真は途中出場後のファーストタッチで復帰を祝う今季2ゴール目を挙げた【写真:Getty Images】

 マリノスにはもう1人、高い壁を乗り越えてピッチに帰還した選手がいる。富樫敬真だ。リーグ戦最後のベンチ入りは3月18日に行われたJ1第4節のアルビレックス新潟戦だった。それから約3ヶ月間、プロ2年目のストライカーは負傷に悩まされていた。

 川崎F戦でウーゴとの交代でピッチに立った富樫は、直後の84分、マルティノスの浮き球パスを受けてループシュート。冷静にGKの飛び出しを見極めた一発で、J1第2節北海道コンサドーレ札幌戦以来12試合ぶりにゴールネットを揺らした。

「ファーストタッチですね。久しぶりの試合でしたけど、チャンスに恵まれているなと思いました。(齋藤)学くんに相手が引き寄せられていたので、僕がフリーになるなというのはなんとなくわかっていました。マルちゃん(マルティノス)ともコンタクトがとれていて、本当にいいボールがきたし、GKも出るしかないと思いましたし、イメージ通りっちゃイメージ通りです」

 クラブから負傷のリリースが出たのは4月13日で、当初は3週間ほどで復帰する見込みだった。しかし、実際のところ富樫はこの3ヶ月で左ハムストリングの肉離れを2度繰り返しており、完治までの期間が長引いてしまった。

「プロ入ってここまで(長く)離脱したのは初めてだったし、アマチュアの時とは違っていろいろな感情も芽生えてきた。そういった時にチームメイトはもちろん、友人とかいろいろな人が応援してくれていたので、それなしでは厳しかったのかなと思います。今日は出たら何が何でも勝ちたいという気持ちがあったので、よかったです」

 取材エリアに現れた富樫の表情は安堵に満ちていた。癖になりやすい肉離れを繰り返し、不安や不甲斐なさを感じた3ヶ月。乗り越えられたのは常に寄り添ってリハビリを支えてくれたメディカルスタッフたちのおかげで、「今回のゴールはトレーナー陣に捧げたい」と背番号17は語る。

「うちの日暮トレーナー(日暮清チーフトレーナー)は、僕のリハビリの太ももの筋肉の数値とかデータを見てお酒を飲むくらい変態なので、まずい酒を飲ますわけにはいかないと思っていました。いい状態で怪我なくゴールを決めることでうまい酒を飲めるという話だったので、良かったと思います」

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