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日本代表 7年前

本田が示す日本サッカーの新たな可能性。31歳バースデーのイラク戦で果たすべき役割

text by 元川悦子 photo by Getty Images

本田にめぐってきたチャンス。定位置奪回なるか

本田圭佑
右インサイドハーフで輝きを放った本田圭佑【写真:Getty Images】

 チームを主にリードするのは、最年長の川島永嗣(メス)、負傷離脱中の長谷部誠に代わって腕章を巻くキャプテンの吉田麻也(サウサンプトン)、攻撃陣のリーダー・本田圭佑(ミラン)という代表経験豊富な3人になりそうだ。中でも最終予選4試合ぶりの先発復帰が有力視される本田には、特に大きな期待が寄せられる。

 昨年9月の最終予選初戦・UAE戦(埼玉)では自らオープニングゴールを挙げ、続くタイ戦(バンコク)とイラク戦(埼玉)では4-2-3-1の右FWでプレー。オーストラリア戦(メルボルン)では1トップに陣取って原口元気(ヘルタ)の先制点をアシストするなど、大黒柱として代表に君臨してきた背番号4。

 だが、11月以降は久保裕也(ヘント)の台頭でベンチを温めるようになる。全てはミランでの出場機会減少が招いたこと。今年1月の冬の移籍期間に新天地を見つけられていれば、3月のUAE戦(アルアイン)とタイ戦(埼玉)の2連戦からスタメン奪回の可能性もあったのだが、結果的にミラン残留を決断。この6月2連戦での地位回復は困難と見られていた。

 ところが、シリア戦で香川が負傷したことによって、本田への風向きは急激に変化している。7日のゲームの後半約30分間、右インサイドハーフで輝きを放ったことで「本田はやはり中で使うべき」という声が一気に高まったからだ。

「なんかサイドやってると自分が下手になっていってるんじゃないかと思う時があるんですよね(苦笑)。(外は)仕掛けたりとか、リスクを背負うプレーをするでしょ。今までの自分はそうじゃくて、いかに取られないかとか、いかに相手引き出して食いつかせてちょんちょんってやるかとか、ゲームメーク側だったから…」と昨年10月のオーストラリア戦後に本人も偽らざる本音を吐露したことがあったが、サイドとしての限界をどこかで感じていたのは確かだろう。

 ハリルホジッチ監督が久保や原口元気(ヘルタ)のような前への推進力とスピードを併せ持ったタイプを重用し始めてから、その思いはより一層、強まったに違いない。ロシアW杯というキャリアの集大成となる大会に向け、自分の生きる道を模索していた本田にとって、中盤のタレント不足という現状は自身の存在価値を示す千載一遇のチャンス。これを逃す手はない。

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