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日本代表 7年前

本田が示す日本サッカーの新たな可能性。31歳バースデーのイラク戦で果たすべき役割

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「僕のやるべきことは試合前、試合中も多い」(本田)

本田圭佑
31歳バースデーゲームとなる本田圭佑【写真:Getty Images】

 実際、極めて過酷な環境下のイラク戦は、指揮官が目指す縦に速いサッカーばかりを追求しているわけにはいかない。その部分も本田にとっては追い風となるはずだ。

「(これだけ暑いと)攻守においてコントロールしないといけない。試合までのアプローチも非常に重要だし、ボールを持たれても『持たせてる』という意識を(相手に)持たせることが大事。監督は速攻みたいな形を作れと言うかもしれないですけど、それで自爆しないように、自分たちのペースで相手を走らせるような戦い方をする必要がある。そうなるともう精神論。駆け引きで勝たないといけない。それには経験が求められてくる。僕のやるべきことは試合前、試合中も多いと思います」と背番号4は仮に指揮官と意見が食い違ったとしても、自分たちが持つ本来のよさや強みを出していく覚悟でいるようだ。

 それがうまく機能すれば、本田圭佑自身が新たな可能性を示すと同時に、日本代表もこれまでと違った戦い方をオプションとして持てることになる。元々ハリルホジッチ監督が就任した際、霜田正浩前ナショナルチームダイレクターは「相手の出方や状況を見ながら臨機応変な戦い方を身に着けられるチーム作りを監督にお願いしている」と話していた。

 つまり、日本サッカー協会は縦一辺倒のサッカーを追求してほしいとボスニア人指揮官に依頼したわけではないのだ。それがいつの間にか「ボール支配率よりカウンター」という方向に偏っていき、戦い方が硬直化する嫌いがあった。今ここで軌道修正を図り、多彩なバリエーションを持って柔軟に戦える日本代表に脱皮できるのなら、まさに理想的。本田の中盤起用というのは、今後のチームの行方を左右すると言ってもいいほど非常に大きな意味を持つ。

 シリア戦と同じ4-3-3のインサイドハーフなのか、4-2-3-1のトップ下なのか不透明な部分があるものの、どちらに入っても本田にとってイラク戦は31歳のバースデーゲーム。節目の大一番で特別な存在感を発揮してくれるはずだ。

(取材・文:元川悦子【テヘラン】)

【了】

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