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Jリーグ 7年前

川崎・阿部浩之、覚醒の秘訣。独特のスタイルへの順応。輝き放つチームの中心に

川崎フロンターレの阿部浩之が、28歳の誕生日にキャリアハイとなるシーズン8ゴール目を前半最後の一戦で叩き出した。ホームに浦和レッズを迎えた5日のJ1第13節でワントップとして先発。前半16分にキャプテンのFW小林悠の先制点をマークし、同29分には大黒柱のMF中村憲剛のアシストから2試合連続のゴールをマーク。後半からは左サイドハーフに回り、4‐1の快勝に貢献した。ガンバ大阪から加入して半年足らず。瞬く間に独自のスタイルに順応し、さらに覚醒しつつある秘密に迫った。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

28回目の誕生日に決めたキャリアハイの8ゴール目

川崎フロンターレの阿部浩之
川崎フロンターレの阿部浩之【写真:Getty Images】

 アニバーサリーが重なった。28回目の誕生日を、シーズンの自己最多記録を更新する8ゴール目で自ら祝った。10試合で8発を叩き込む量産ぶりに、川崎フロンターレの阿部浩之が思わず謙遜した。

「毎試合のようにいいパスが来ますし、シュートチャンスも試合中に何度か訪れるので、あまり力まずに打てるようになってきたのかなと思います」

 ホームの等々力陸上競技場で、浦和レッズと対峙した5日のJ1第13節。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)との兼ね合いで未消化だった一戦で、阿部の笑顔がカクテル光線に映えたのは前半29分だった。

 敵陣でボールを奪ったMFエドゥアルド・ネットからMF大島僚太を介して、MF中村憲剛へ素早く縦パスがつながれる。その瞬間、阿部はレッズのセンターバック、遠藤航と槙野智章の間に半身で入り込んでいた。

「(中村)憲剛さんだけでなく、その前の(大島)僚太からももらえるかなと思ったので、どっちでも受けられるタイミングで動いていた。ゴールは見えていなかったけど、キーパーのタイミングを外すことだけを考えて、2人に囲まれる前に何とか感覚で打つことができました」

 遠藤の姿を視界にとらえ、槙野の気配を背中で感じながら、ワンタッチで放たれた中村のスルーパスに抜け出す。左足でボールを整え、直後に左足で放たれた一撃に、GK西川周作はなす術がなかった。

 奈良県で生まれ育ち、大阪桐蔭高校、関西学院大学をへて2012シーズンにガンバ大阪へ加入。2014シーズンの国内三大タイトル独占に貢献した阿部はこのオフ、自らの強い希望でフロンターレへ移籍した。

「生まれも育ちも関西なので、こっちに来るのが不安でしかたがなかった」

 自虐的なジョークでサポーターを笑わせたのは、1月下旬の新体制発表会。いまや何年もフロンターレでプレーしているかのように溶け込み、2014シーズンにマークした7ゴールをわずか17試合で超えた。

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