ポドルスキ獲得がJリーグの大きな転換点に?
ポドルスキが口にした非常にシンプルな言葉は、フットボールの本質であり、基本となる考え方だろう。チームは全員が共闘しなければ力を発揮できず、常にポジティブな姿勢で、真摯に取り組んでこそ最高の結果が得られる。
「今までトレーニングで積み重ねてきたことや、経験の全てをファンの皆さんの前で見せられるように全力を尽くす。自分の経験をチームメイトに伝えていくことも大切だと思っている。皆さんにたくさんのゴールを見せたいし、僕自身がプレーすることを楽しみたい」
トルコのガラタサライでプレーしていたポドルスキの日本移籍報道が出始めたのは昨年12月のこと。実際には「昨年11月に三木谷会長から熱烈なオファーをもらった」と選手本人が明かしているが、それから長い時間をかけて、ついに神戸の地を踏んだ。
これから契約満了までの2年半にわたって、どんなプレーを見せてくれるのか。三木谷会長の言う「Jリーグ自体が国際的なリーグになって、日本全体を盛り上げていく。あるいは世界の人たちがJリーグを見る状況を本当に作り出せるのではないか」という目論見を実現するには、ポドルスキの活躍は欠かせない。
「Jリーグが一団となって、このように夢のあるスーパースターを日本に連れてくるということができる、大きなきっかけになるのではないか」
世界的名門のバルセロナと大型スポンサー契約を結ぶなど、スポーツ界で意欲的な動きを見せる楽天や三木谷会長は、ビジネスの視点で今を大きなチャンスと捉えている。『DAZN』からの巨額の放映権料収入もあり、リーグとして大きな転換期を迎えているだろう。この好機を生かせるかはJリーグや各クラブの振る舞いしだいだと、神戸は証明したのかもしれない。
ポドルスキ自身、まだ32歳で体は十分に動く。ドイツ代表からはすでに引退を表明しており、クラブでの戦いに専念できることもプラスに働くかもしれない。世界の頂点を経験したスーパースターが見せるトップクラスのプレーに期待は膨らむ。最短の公式戦デビューは7月29日のJ1第19節・大宮アルディージャ戦となっている。まずは気持ちよくいい結果を残して、おいしい神戸牛を食べられるよう願うばかりだ。
(取材・文:舩木渉)
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