J2長崎、入場者数上乗せ問題の内実。前体制に代わり責任負った現体制、迅速な対応と調査
25日、Jリーグは理事会を開催し、入場者数を水増ししていたV・ファーレン長崎(J2)に対して制裁金とけん責という処分を下した。3年にわたる数字の上乗せはなぜ起きてしまったのだろうか。4月から高田明氏(ジャパネットホールディングス前社長)が社長に就任し、経営再建を進めるクラブの迅速な対応を含めて検証する。(取材・文:藤原裕久【長崎】)
2017年07月28日(Fri)11時26分配信
上乗せ問題発覚の発端はコンプライアンス問題を指摘する告発
25日、Jリーグは「2017年度 第7回Jリーグ理事会」で、3年にわたって24,000人以上の入場者上乗せを行なっていたV・ファーレン長崎への、制裁金300万円とけん責(始末書をとり、将来を戒める)処分を決定した。
同日、ホームスタジアムのトランスコスモススタジアム長崎で記者会見を行なったV・ファーレンの高田明代表取締役社長は、旧体制時の問題であるものの、クラブとして処分を真摯に受け止め、今後もクラブの透明化へ全力を尽くすことを表明した。
公式試合入場者数の上乗せ問題が発覚した発端は、昨年からJリーグに寄せられていたクラブのコンプライアンス問題を指摘する告発だ。
当初、Jリーグは一連の問題についてクラブに調査を委ねていたが、状況が進展しない状況を受けて今年1月から、Jリーグ自らによる調査を開始。調査を進める中で、今回の入場者数の上乗せ問題が浮上し、4月にJリーグからクラブへ同問題の追調査が指示されたという。
当時のクラブは累積赤字で3億以上とも言われる経営危機が発覚し、ジャパネットホールディングスの完全子会社として再出発を図る大変な時期ではあったが、新たに代表取締役に就任した高田明社長のもとで調査を開始。だが、この時点で運営に関与していたスタッフの多くがすでにクラブを去っていたこともあり、調査は予想以上に難航する。
その中でクラブは、責任のなすり合いなどの泥仕合にならないよう注意を払いながら、迅速に解決を図るべく数字の確認を優先。上乗せを行なった当時の入場者集計担当者や経営陣、運営委託業者など可能な限りヒアリングを行なった上で、6月に報告をまとめJリーグへ提出した。