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ネイマール、昨季中から水面下で進行したPSG移籍。290億円のパリ行きでFFPは?

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

ファイナンシャルフェアプレー上の問題は生じないのか

 しかしながら、昨年夏の、ポール・ポグバのマンチェスター・ユナイテッド移籍時の世界最高額1億500万ユーロの軽く倍をいく2億2200万ユーロという金額が物議を醸さぬわけはなく、『Neymar PSG FFP』と検索にかければ、『UEFAがネイマールのPSG移籍について調査に乗りだす模様』「どうなってるんだFFP?』といった各国メディアの見出しがずらりと並ぶ。

 実際、今回の移籍金がどうファイナンシャル・フェアプレー(FFP)に影響するかは、来秋にならないと判明しない。FFPのチェックは3シーズンごとに行われ、次回は15-16、16-17、17-18シーズン分がワンセットとなる。

 さらに移籍金は契約年数で割って1年分として計上するため、ネイマールの移籍金が5年契約の2億2200万ユーロだったとして、17-18シーズンの支出に加えられるのは、5分の1の4400万ユーロ分のみだ。

 それを含めた総支出を補えるだけのスポンサーマネー等の純利益があればいいわけだが、PSGの予算の約3割を占める大口スポンサー、QTA(カタール・ツーリズム・オーソリティ)は昨年夏に、1年あたり1億7500万ユーロを供給するという破格の新契約を発表したばかり。

 ネイマール効果でマーチャンダイズの売り上げも急増する。仮に、FFPが定める3シーズンの赤字限度額3000万ユーロを超えることになっても、6000万ユーロの罰金プラスいくつかの制裁で逃げ切った前回(2014年)のような抜け道を考えているのかもしれない。

 世界中のフットボール選手を管理する世界選手組合FIFProが、一部の金満クラブによる高額移籍がフットボール界全体に与える影響について欧州委員会に調査を依頼するなど、この移籍についてはまだまだ波紋は続きそうだが、ネイマールのPSG入団に支障はない。

 間もなく、紺地にエッフェル塔のエンブレムがついたPSGのシャツに身を包んでプレーする彼の姿をピッチで拝めることだろう。ちなみに今季のPSGのアウェー用ジャージは、セレソンと似た黄色だ。チアゴ・シウバやマルキーニョスに加えてダニ・アウベスにネイマールと、ブラジル人所帯の拡大を見越したような選択だ。

 個人的には、ネイマールの成長をまだバルセロナで見ていたかったから残念な思いもあるが、彼のおかげで今季のリーグアンが盛り上がるのは間違いない。

 初戦を3-0の勝ち星で飾った酒井宏樹所属のマルセイユもかなり良い具合に仕上がっている印象だし、話題性のあるシーズンになりそうだ。

(取材・文:小川由紀子)

【了】

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