フットボールチャンネル

日本代表 7年前

サウジ戦、日本の鍵を握る選手起用。長谷部不在のボランチが未来への道標に

text by 元川悦子 photo by Getty Images

ハリル体制、道に迷ったボランチの起用法

 山口が「(陽介を見て)若い頃の自分もあんな感じやったんかな」と少し前に吐露したように、2人は豊富な運動量、ボール奪取力、危機察知力、スペースを埋める力など共通するストロングポイントを複数持っている。

 オーストラリア戦の豪快な2点目を見る限りだと、井手口の方がよりタテへの推進力やシュート範囲の広さ、高い決定力を備えているように映るが、山口にも昨年10月のイラク戦(埼玉)で終了間際に奪った決勝弾に象徴される肝心な状況での勝負強さがある。その彼らがお互いに前へ出たり引いたりしながら攻守両面に絡んでいけば、日本の中盤はより機動力とアグレッシブさを増すに違いない。

 日本代表のボランチは、岡田武史監督(FC今治代表)時代の2008年から遠藤保仁(G大阪)と長谷部のコンビが足掛け9年間も担い続けてきた。2014年ブラジルW杯後に就任したハビエル・アギーレ監督は遠藤を外して若い柴崎岳(ヘタフェ)、田口泰士(名古屋)らを抜てき。新たな可能性を模索したが、結局のところ、2015年アジアカップ(オーストラリア)で遠藤を呼び戻す決断を下さざるを得なかった。

 この大会で8強に沈んだ直後に就任したハリルホジッチ監督は、前任者と同じ轍を踏むことなく、まずは柴崎や原口元気(ヘルタ)をトライ。ロシアW杯アジア2次予選の初戦・シンガポール戦(埼玉)で引き分けた後の2015年9月以降は長谷部と山口のコンビを軸に据えた。

 予選の間には柏木陽介(浦和)や遠藤航(浦和)、大島僚太(川崎F)らも試したが、今年に入ってから井手口への信頼が急上昇。6月のイラク戦(テヘラン)でスタメンに指名する。当時20歳の若武者がその試合で堂々としたパフォーマンスを披露すると、今回のオーストラリアとの大一番でインサイドハーフに指名。山口とのコンビ結成に踏み切ったのだ。

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top