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Jリーグ 7年前

川崎F・小林悠、手繰り寄せた奇跡。見出した独自のキャプテン像、成長が具現化した劇的2ゴール

text by 藤江直人 photo by Getty Images

自己最多のシーズン17ゴールも自然体を貫く

 試行錯誤したすえにたどり着いた独自のキャプテン像だからこそ、何があってもぶれることはない。絶体絶命の苦境に追い込まれたベガルタ戦で「ゴールを決めるのは自分」と念じ続け、具現化させた2ゴールは、キャプテンという肩書と戦ってきた過程で成長した「心」に導かれたものと言っていい。

 これで今シーズンのゴール数を「17」に伸ばし、自己最多だった昨シーズンの「15」を更新した。得点ランキングも日本代表FW杉本健勇(セレッソ大阪)と並ぶ2位で、トップのFW興梠慎三(浦和レッズ)を2点差で追う。個人としての初タイトル獲得が視野に入ってきても、小林は自然体を貫く。

「今年はPKを蹴らせてもらっていることが大きいけど、それでもチームのみんなに取らせてもらっているゴールが多いので、パスを出してくれる選手たちに感謝したい。僕のゴールが伸びているというのはチームの成績がいいからなので、チームに感謝したいと思っています」

 もしベガルタに屈していたら――2位の座は変わらないとはいえ、首位・鹿島アントラーズとの勝ち点差は再び「8」に広がっていた。残り5試合で終戦を迎えかねない大ピンチで、小林の咆哮とともに土俵際で優勝戦線に踏みとどまった。

 敵地でサンフレッチェ広島と対峙する21日の次節では、家長とエドゥアルド・ネットが出場停止となる。負傷離脱中のMF大島僚太、阿部浩之もまだ間に合わない。再び厳しい戦いが待つ苦境で、貪欲にゴールを求め続けるキャプテンの背中が、初タイトルを目指すフロンターレの羅針盤になる。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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