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酒井宏樹も奮闘、マルセイユの意地。PSGとのクラシコ、悔しいドローも大きな収穫

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

追いつかれてのドローも、マルセイユが得た収穫

マルセイユを率いるリュディ・ガルシア監督
マルセイユを率いるリュディ・ガルシア監督【写真:Getty Images】

 あと数分、いや数秒で勝利!というところから転落してのドローと、最後に追いついてのドローとでは後味に雲泥の差がある。しかし、傑出した集中力とチームプレーが発揮できたこの試合でマルセイユが得た収穫は、ショックだけではない。

「今日の試合ではみんな気持ちが違っていた。ピッチ内で起こるいろんな小さいことに対する対応力というのは、今日はかなりレベルが高かったと思います。本当に貴重な経験をさせてもらいました。素晴らしい試合でした」(酒井)

「がっかりはしているけど、良い結果だ。素晴らしいファイティングスピリッツを発揮できたし、みんなで守り、みんなで攻めるという真のチームプレーができた。それこそがマルセイユのあるべき姿だ」(トバン)

「今日以外にも善戦した試合はあった。自分たちにそれだけのクオリティがあるということだ」(ロランド)

「ハートが痛むけれど、落胆することなくポジティブなことに目を向けたい。ブロックでプレーすること、みんなで力を合わせてプレーすること」(ラミ)

「結果には満足できないけれど、良い試合をしたのだから落ちこむべきではない。次につながる点に注目すべきだ。団結力があり、一対一でも負けなかった。フィジカル面でも勝っていた」(アンギッサ)

 と、選手たちも今後につながるポジティブな点に目を向けている。

 一対一で負けなかった、ブロックディフェンスで相手を阻止できた、という成果も、PSGという最強チームが相手だったことで一層価値が高まる。この後厳しい対戦があっても「パリ戦であれだけできたじゃないか」と確認しあうことで根拠のある自信がもてる。

 試合前の恒例会見で、ガルシア監督の「勝つために戦う」という言葉を「現実的にはムリ」といった様子で聞き流していた地元記者たちも、「勝てはしなかったがこの健闘は大きな収穫だ!」とチームを賞賛している。

 開幕以来、不安定さが否めなかったマルセイユだが、この試合が自分たちのチームの底力を実感できる機会になったとしたら、あと一歩で勝利を逃した悔しさも、きっと報われる。

(取材・文:小川由紀子【フランス】)

【了】

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