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Jリーグ 7年前

湘南、曹監督という羅針盤。試行錯誤経て到達したJ2優勝、新しい「湘南スタイル」

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「選手たちは大人になった、すごく成長したと思っています」

岡山戦は引き分けには終わったが、引き分け以上が求められる試合での勝ち点1に、曹監督は及第点を与えた
岡山戦は引き分けには終わったが、引き分け以上が求められる試合での勝ち点1に、曹監督は及第点を与えた【写真:Getty Images】

 不思議なもので、自分自身に正直になってみると、バラバラになりかけていた思考回路が再びひとつになってきたという。今シーズンの陣容でやるべきことが、時間の経過とともにピッチで具現化されていく。それは「勝負は細部に宿る」。1年間で闇を突き抜け、J1昇格とJ2優勝を手にした曹監督を、長澤監督が称賛する。

「最後の際のところで、普通のチームでは破れたところを破らせてくれない。そこの1センチ、10センチといったところに本当の強さが隠されている。システムや戦術、戦略はあるが、最後に帰結するのはそこ。細部のところで、湘南さんはこのリーグを乗り切ったと認識している」

 台風22号の影響で間断なく大雨が降り、水たまりができた影響でボールが止まる場面が何度もあった29日の明治安田生命J2リーグ第39節。前半終了間際に先制したベルマーレを、後半になってファジアーノが球際の攻防で制し、41分には昨シーズンまで在籍したMF大竹洋平が同点弾を見舞う。

 しかし、その前後を含めて幾度かあった失点のピンチは、体を張ったベルマーレの選手たちによって防がれた。アビスパ福岡が引き分けた前夜の段階でJ1昇格が決まっていたベルマーレは、引き分け以上で優勝を手にすることができた。

 3年前は昇格も優勝もともに敵地で、それも引き分けの末に決めていた。ファジアーノ戦は結局、1‐1で引き分けた。それでも、ある意味で試行錯誤した末にたどり着いた、今シーズンの戦い方が凝縮された90分に、曹監督も及第点を与えている。

「今日に関しては勝ち点1を取ることが非常に大事だったと考えれば、選手たちは大人になった、すごく成長したと思っています」

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