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Jリーグ 6年前

C大阪、初タイトルで体現したチームの結束。「ルヴァン組」の想い背負った責任と感謝

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「変わるかどうかはこれからの自分たちしだい」(清武)

ソウザ
秋山(中央)や丹野(後列左から2番目)などベンチにいた選手・スタッフも含め全員がゴールを決めたソウザに駆け寄る。これが今季のセレッソだ【写真:Getty Images】

 夏場には長期離脱を経験し、ルヴァンカップは準決勝まで3試合・136分間しか出場していなかった清武弘嗣も「ユンさんも今回の決勝のメンバー選考はすごく悩んだと思う」と指揮官の決断に理解を示し、「僕たちが感謝しなければいけないのはルヴァン組のメンバーがここまで戦ってくれたこと。そういうメンバーに僕たちは感謝しなければいけないと思いますし、本当に感謝しています」と杉本に同意する。

 一方、決勝はベンチスタートとなった「ルヴァン組」の1人、田中は試合から一夜明けてインスタグラムで「1戦1戦試合を重ねる中で、自分達が輝く場所はここにあるんだ。必ずタイトルをチームにもたらすんだ。その気持ちだけで戦ってきました。(中略)このメンバーで必ず結果を出したい。セレッソのために星をつけたいと思いプレーしてきました」と率直な思いを明かした。

 田中をはじめとして決勝の舞台でチャンスを得られなかったメンバーから思いを託された選手たちは、一丸となって戦い、責任を果たした。セレッソの選手たちの「感謝」は心の底から出てきた言葉だった。

 懸命に努力する選手たちを信じて起用し続けてきたユン・ジョンファン監督は「全選手が互いに助け合って、よく戦っている姿を見たら、本当にいいチームになっている気がします」と胸を張る。

 セレッソの選手たちは、初タイトルでクラブに歴史を刻んだ。表彰台からの景色を見て、ユニフォームのエンブレムに星をつける。この勝利の経験がもたらす財産はとてつもなく大きい。大舞台や重要な時に弱いと言われ続けていたチームは、常勝軍団へと変われるのだろうか。「セレッソがここまで激しくて戦える集団になったのは、ユンさんのおかげ」と語る清武は、これからもタイトルを獲得し続けるためには、これまで以上に1人ひとりの責任が重くなると考えている。

「変わるかどうかはこれからの自分たちしだいですし、またこれから星を増やしていけるのは今いる僕たちしかいないと思う。今年はまだタイトルを獲るチャンスがありますし、これからの残り1ヶ月半は(真の力が)試される。ここで満足したら終わりですし、また厳しい戦いが待っているので、これからだと思います」

 次なる目標は来年のACL出場権獲得と、天皇杯優勝だ。2018年元日、再び埼玉スタジアムの表彰台からの景色を眺めることができるだろうか。責任と感謝をチームで体現したセレッソは、ルヴァンカップ制覇で未来への一歩を踏み出した。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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