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Jリーグ 6年前

C大阪、初タイトルで体現したチームの結束。「ルヴァン組」の想い背負った責任と感謝

text by 舩木渉 photo by Getty Images

背負った責任の重さ。「ルヴァン組」への感謝

セレッソ大阪
ルヴァンカップ決勝に先発したのは杉本、柿谷、清武、山口(左から)といった主力組だったが…【写真:Getty Images】

 だが、ユン・ジョンファン監督は決勝で現実的な選択を迫られた。タイトル獲得のためリーグ戦組中心のフルメンバーで臨む決断を下すか、「ルヴァン組」の尽力に報いるか。過去にセレッソの選手として目の前でタイトルを逃した経験を持つ指揮官が選んだのは前者だった。試合後の記者会見で、その理由を説明した。

「今日の試合のメンバーはすごく悩みましたが、タイトルを獲るためには何かを犠牲にしないといけないと思い、こういうメンバー構成になりました」

 最初は過密日程の対策と、より多くの選手にチャンスを与える目的で作られた「ルヴァン組」だったが、「ルヴァンカップに出場していた選手たちの走る姿、そして戦う姿勢が、リーグ戦に出ている選手たちにも大きな影響を及ぼした」と指揮官が語るほどにチームへの貢献度は高かった。

 結局ルヴァンカップ準決勝までで出場時間上位の5人、木本(12試合、1050分)、田中裕介、秋山大地(ともに10試合900分)、茂庭(9試合、803分)、リカルド・サントス(10試合、779分)のうち決勝の舞台でスタメンに残ったのは木本のみ。他のメンバーはキャプテンの柿谷曜一朗を筆頭に清武弘嗣、杉本健勇、山口蛍らリーグ戦で出場時間の長い面々だった。

 タイトル獲得を任された面々は、特別な思いを胸にピッチに立った。「ルヴァン組」から最後を預かった身としての責任と、それにともなうプレッシャーがあったと選手たちは明かす。

「(ルヴァンカップは)ベンチに1回も入っていなかったので、本当にここまで連れてきてくれた、ルヴァンで戦ってくれたメンバーに申し訳ないというか。しっかり責任を果たして、頑張らなアカンなというのはあった。負けたら本当にどんな顔すれば…顔見せられへんなと思っていたし、そういう不安は自分の中にあった」

 こう語るのは決勝の開始1分にゴールを決めた杉本である。今季リーグ戦19ゴールのエースは「(ルヴァン組には)本当に感謝していますし、相当悔しいと思いますし、だから絶対に俺らの方が気持ち強いと思っていましたし、それは1人ひとり思っていたので、今日必ず勝ってから、勝って、メンバーに報告したかった」と、ルヴァン組への感謝を語る。チームの結束が勝利を呼び込んだ。

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