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日本代表 6年前

驚きではない本田&香川外し。ハリルの思惑と欧州遠征の注目ポイント【データアナリストの眼力】

シリーズ:データアナリストの眼力 text by 中山佑輔 photo by Getty Images

ブラジル戦展望。ネイマールへのパスを寸断できるか

【表2】ブラジルの直近4試合でネイマールがフル出場した3試合のパスデータ。
【表2】ブラジルの直近4試合でネイマールがフル出場した3試合のパスデータ。パス受け数が多い順に並べてある。

 それではブラジル戦のキーポイントはどこになるだろうか。こちらも日本代表と同様にパス受けのデータをもとに考えてみたい。ブラジルの直近4試合のうち、チームのエースであるネイマールがフル出場した3試合のパス受けデータを表したのが表2である。

 セレソンで最も違いを生み出せる選手である背番号10は当然のようにパス受けが多くなっていて、チーム内の1位か2位に位置している。庄司氏によれば、ネイマールにパスが入るルートを見ると、10日の試合で注目すべき点が浮かび上がるという。

「まずチームで最もパスを入れるべき選手にボールが入っているところがひとつポイントになりますが、そこにボールを入れさせないようにしたいですね。となると、パスのルートがどこになるかということになりますけど、ブラジルは今の日本と似ていてセンターバックからサイドバック、サイドバックからネイマールやコウチーニョといったウイングの選手にボールが入ることが多いです。

 そうなると日本としてはブラジルのサイドバックが余裕をもって前を向くというシーンを減らしたいですね。乾か原口、久保か浅野のところでアプローチが遅くならないようにすることが求められます。中盤と同じでウイングのところにも守備面で素早いアプローチと高い強度が必要になるということだと思います。余談ですが、本田はこの点でハリルホジッチ監督を満足させるレベルにないのかもしれません。

 そしてネイマールに関していうと、PSGがバイエルンに3-0勝利を収めた試合でも、ボールタッチ数がチーム内で多いんですよ。ボールポゼッション率は高くなくても、結局入れるべきところにはパスが入っている。この試合をハリルホジッチ監督が例示したのは示唆的だと思いますね」

 ブラジルのウイングに入っている選手の特徴としては、ネイマールにしてもコウチーニョ(日本戦は欠場の見通し)にしてもインサイドに入ってくる点がある。そして空いたスペースにはサイドバックが頻繁に上がってくる。庄司氏はこの傾向がサッカー界全体のトレンドに沿ったものだとしつつ、次のように語っている。

「私が主にデータをとっているドイツでもサイドバックの位置取りは高くなっていて、ウイングみたいな仕事もするようになっています。ウイングが中へ入ってサイドバックが上がる事象に言及するとき、ドイツでは『翼を折りたたむ』という表現をあてがうのが広まっているくらいですね。

 ネイマールのような選手たちが中に入るのは、サイドバックへの『花道づくり』みたいなものと言ってもいいかもしれません。ブラジル戦は、ネイマールらへのパスコースの寸断、サイドバックに対するケアが注目ポイントになると思いますね」

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