課題は周囲との連係。ベルギー戦でも強力アタッカーと対峙
後半は日本がより高い位置からプレッシャーをかけ、逆にブラジルは攻勢をかけてこなくなる中、49分にはネイマールが単独で仕掛けたところを酒井宏樹と吉田麻也が囲んでボールを奪い、さらに並走状態から転倒したネイマールが酒井宏樹を手で押したとして警告を受けた。66分にはネイマールがドリブルで切り込んだところを酒井宏樹が倒し逆にイエローカードを提示されたが、71分にネイマールがドウグラス・コスタとの交代で退くまで、互角以上の“デュエル”を演じた。
終盤にはドウグラス・コスタを牽制しながら、タイミングよく攻撃に絡み、吉田からの縦パスを途中出場の森岡亮太に落とし、スルーパスに走り込んで浅野拓磨の惜しいシーンを演出。酒井宏樹としては悔しい敗戦の中でも、頼りになる存在であることを証明する試合となった。
「まあ、前半からかなりやりづらいようにはしていたので、1対1になる時の彼の癖というのはもちろん少ないですけど、少なからずそこはずっと見ている」
柏レイソル時代にクラブW杯で、2012年の親善試合でネイマールと対戦した経験のある酒井宏樹はマルセイユの選手として、10月にパリ・サンジェルマン戦で再びネイマールと対峙し、2枚のイエローカードで相手が退場するまで自由を奪い続けた。今回はあらためて“デュエル”から決定的な仕事をさせなかったわけだが、連係面の反省を口にする。
「マルセロとか、(ガブリエル・)ジェズスとかが絡んでくるともう止められなかったですね。だから、あそこをもっともっと密にコミュニケーション取るしかない」
指揮官が常に強調するように“デュエル”は試合がハイレベルになるほど重要性を増してくるが、純粋な“デュエル”の繰り返しだけでサッカーが成り立つわけではない。局面での1対1や対人戦の強さをベースにしながら、いかに連係面も含む状況の変化に対応していくか、そこの向上が求められる。
ベルギー戦にも出場すれば屈強なナセル・シャドリや技巧派のエデン・アザールとの“デュエル”が多くなりそうだが、酒井宏樹の局面の強さに加えて連係面も注目していきたいところだ。
(取材・文:河治良幸【リール】)
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