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日本代表 6年前

井手口陽介に求められる「世界基準」への急成長。ハリルJの鍵握る守備のできる“トップ下”

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「攻撃の時にどうしたらいいかわからなかった」

 こうした一挙手一投足は香川真司(ドルトムント)や清武弘嗣(C大阪)ら「従来の10番タイプ(攻撃型)のトップ下」とはもちろん担う役割が違う。

 0-3で迎えた後半、ブラジルがペースを落としてきたこともあり、井手口の球際の強さはより際立つようになった。もともと向こうっ気の強い21歳の若武者はネイマール相手にもひるむことなく、イエローカードを怖がらずに削りにいく。そして、後半17分には左コーナーキックから槙野智章(浦和)のヘディングシュートをお膳立て。

「あのへんに蹴ればいいかなと思った」と本人は苦笑いしたが、セットプレーでもチャンスを作れる能力の一端をのぞかせた。最終的には遠藤航(浦和)と交代。今回はフル出場には至らなかったが、中盤のダイナモとして攻守のスイッチを入れられる井手口が現日本代表の重要なピースであることを改めて認識させたのは確かだ。

「形だけ見るとトップ下? そうですけど、攻撃の時にどうしたらいいか分かんないってのはいっぱいあった。たぶん(自分を含めて)みんながビビらずにボールを受けられれば(攻撃も)全然できたんじゃないかと今は思ってます。いろんなポジションができれば悪いことはないので、どのポジションもこなしていけるようにしていきたい」と井手口は課題と収穫の両方を口にしたが、ハイレベルな試合をこなしていけば、戸惑いを覚えた攻撃面も改善できる可能性は少なくない。

 実際、オーストラリア戦であれだけ豪快なミドルシュートを決めた選手だ。本人は「ブラジル相手にゴール? ないと思います」と苦笑いしていたが、経験を重ねて自信さえ手にすれば、前への迫力や推進力をより出せるようになるはず。

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