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日本代表 6年前

井手口陽介に求められる「世界基準」への急成長。ハリルJの鍵握る守備のできる“トップ下”

text by 元川悦子 photo by Getty Images

ロシアで鍵を握る高度な守備能力を備えたMFの台頭

ハリルホジッチ
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は井手口陽介の急成長を期待しているのかもしれない【写真:Getty Images】

 長谷部が「今日はタメを作れる選手がそんなにいないと思ったので、行ったり来たりのゲームにならないように少し考えた」と話した通り、このブラジル戦では井手口がボールを収める余裕はなかった。それも世界基準のインテンシティーに慣れていけば改善されていくだろう。日頃、Jリーグでプレーしている選手だけに容易ではないが、彼自身があえて高い目標に取り組むことでしか、明るい未来は開けてこない。

 ロシアW杯の組み合わせ抽選会で第4ポッドに入ることが濃厚な日本は、グループリーグでブラジルのような強豪と必ず対峙しなければならない。格上がズラリと揃う厳しいグループに入ってしまう可能性も十分にある。となれば、ハリルホジッチ監督は今回のように走って守れる選手を軸にチームを構成するだろう。

 前からプレスにいくか、自陣に引いてブロックを作るかといったチーム全体のバランスの取り方は判断が分かれるところだが、いずれにしてもボール奪取力の高い選手を中盤に配置しなければ組織戦術は成り立たない。それがこのブラジル戦の惨敗で今一度、明確になったと見ることもできる。

 本番までの7ヶ月間で、泥臭くハードワークできる井手口の成長は日本にとって重要なテーマになるだろう。今回、相手の運動量が落ちてきた終盤の時間帯に、創造性の高い森岡亮太(ワースラント・ベフェレン)が入って攻撃チャンスを作ったように、従来型の10番タイプの選手も状況に応じて必要になってくるが、やはり中盤の選手選考でベースとなるのは高度な守備能力だ。

 そういう意味で、井手口には成長速度を一気に上げてもらうしかない。もちろん森岡や長澤、倉田秋(G大阪)、今回は日本代表メンバーから漏れた香川真司らが強豪相手にデュエルで勝てる選手になることも重要だが、若い井手口の成長に期待したいところだ。トップ下に陣取りながら、相手の配球役であるアンカーやボランチと果敢にマッチアップでき、攻撃にも絡める総合力の高いMFの台頭が、ロシアW杯で日本の鍵を握る存在になるかもしれない。

(取材・文:元川悦子【リール】)

【了】


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