長崎、J1昇格という夢物語。3億にも及ばぬ強化費からの快挙。企業クラブのその先へ

2017シーズンの明治安田生命J2リーグを2位で終え、J1昇格を決めたV・ファーレン長崎。春先には経営危機が叫ばれたシーズンであったが、ジャパネットの支援もありフロントの体制が安定。現場のチームも快進撃を見せ、1部リーグへの挑戦権を獲得した。県民クラブから企業クラブへ、激動の1年を経た長崎県のクラブにはどのような未来が待っているのだろうか。(取材・文:藤原裕久【長崎】)

2017年11月23日(Thu)10時39分配信

text by 藤原裕久 photo Getty Images
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強化費=戦力という昨今の図式の中で、例外ともいえる活躍

J1昇格を決めたV・ファーレン長崎
J1昇格を決めたV・ファーレン長崎【写真:Getty Images】

 今季のJ2最終節、アウェイの群馬戦で見せた長崎の戦いぶりは、DF乾大知、FWファンマ、MF幸野志有人が欠場し、MF島田譲もベンチに温存と4名も主力を欠きながらも「いつも通り」のものだった。

 伝統のハードワークや攻守切り替えの早さをベースに、攻撃では縦の早さと自分たちでボールを動かしていくスタイルを使い分け、守備においても球際の強さやハイプレッシャーを軸にピンチの芽を摘む。

 中でもDF田代真一のクロスからFW平松宗の決めた先制点と、その平松が落としたボールからMF吉岡雅和が2点目を決めたシーンは、「いつもトレーニングでやっていた(平松)」形であり、それを出場機会の少ない選手たちが決めたという事実からも、チームの熟成度を感じることはできた。

 スコアを4-0としてから、MF前田悠佑、澤田崇といった主力をさらに下げたことで、終了間際に1点を返されはしたが、記者席から「実力が段違いだ」という声が聞かれるほど、長崎のチーム力は際立っていた。

 この試合の勝利で長崎は、今季の目標勝点とした勝点80に到達し、3位につけていた名古屋につけた勝点差は5。終わってみれば、余裕すら漂わせてのJ1昇格である。これを「快挙」と称することに異論のある者は少ないだろう。

 昨季の主力を含む16名もの選手が入れ替わったトップチームの今季人件費は、開幕時点で3億にも及ばない。この額は過去にJ1昇格を達成したクラブはおろか、今季J1昇格を争ったクラブの中でもダントツに低いもので「今後、同程度の強化費でJ1昇格を達成するクラブはない」と評する関係者も多い。強化費=戦力という昨今の図式の中で、例外ともいえる活躍を見せたのが今季の長崎だったのである。

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