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Jリーグ 6年前

【英国人の視点】大いに賞賛に値する浦和の強さ。ACL制覇の栄光、新たな歴史の刻印

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

強豪アル・ヒラルに屈しない浦和。チームに通う強い芯

 試合でも順調なスタートを切ることに成功し、開始わずか30秒で長澤和輝が先制点をうかがうシュートを放つ。浦和はACLでは3試合連続で前半の早い時間にゴールを奪い、落ち着いてパスを回すことができる状況に持ち込んでいた。その再現を狙おうとしているのは明らかだった。

 だがアル・ヒラルは、それまでの相手とは異なる様相を見せた。ズラタンもこの日の相手について、今年の大会で浦和が対峙した中で最高のチームだと表現していた。

 決勝の相手となればそれも当然のことだ。実際のところ、プレッシャーがかかる状況下での個人の技術はもちろんのこと、アル・ヒラルの連系プレーもまた見事なものだった。

 過去数年であれば、レッズはこういう力を持った相手に打ち崩されていたかもしれない。だが今のチームにはより強い芯が通っている。アル・ヒラルはボールを保持して組織的なプレーを展開しながらも、レッズより4本も少ない枠内シュートわずか1本を放つことしかできなかった。

 浦和がそういった自信を身につける基礎となっているのはもちろん、今大会を通して本当に見事な戦いぶりを見せてきたことだ。大会全体を振り返ってみれば、レッズにタイトル獲得の資格がなかったと主張できる者は多くはないだろう。

 グループステージでは爆発的な得点力を発揮し、特にホームゲームでは3試合で12回ネットを揺らした。続いて決勝トーナメントに入ると、ファンの神経がすり減るような苦戦の中で、派手な逆転劇を立て続けに演じてきた。

 済州ユナイテッドと対戦したベスト16では、韓国での1stレグに0-2で敗戦。だが2ndレグでは見事な反撃を披露し、最後は114分に森脇良太がゴールを奪って3-0の勝利を締めくくった。

 続いて川崎フロンターレとのJリーグ勢対決もまさに信じがたい展開だった。2試合合計1-4とリードされた状況から、興梠慎三、ズラタン、ラファエル・シルバがゴールを奪い、最後は終了4分前に高木俊幸も決めて準決勝進出を果たした。

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