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日本代表 6年前

磐田での1年を経て代表復帰の川又堅碁。まだ覚醒の途中。取り戻したFWとしての怖さ

text by 青木務 photo by Getty Images

名波監督が川又に求めたもの

ジュビロ磐田を率いる名波浩監督
ジュビロ磐田を率いる名波浩監督【写真:Getty Images】

 磐田にやって来た川又は、「1試合5本のシュートを打ちたい」と目標を立てている。その点は名波監督からも指摘されたが、フィニッシャーとしてしっかり機能したと言えるだろう。

「堅碁の課題としてシュート数(の少なさ)というのがあったので、そういう意味では今年はそういうポジションに顔を出してフィニッシュまで行けているし、ポジティブに捉えていいと思う」(名波監督)

 とはいえ、指揮官の要求は『ゴールに特化した選手になれ』というものではなかった。

 昨シーズン、磐田の攻撃はジェイ(現コンサドーレ札幌)に依存した。決してそれを望んだわけではなく、本来は元イングランド代表FWを活かしながら他の選手も輝くことを目指した。しかし、ジェイの存在感は無視できないもので、あれだけの得点力を持った選手にボールを集めるのは定石だ。必然的に、サイドからのクロスがパターン化されていった。

「一人の選手が点を取るようなサッカーをやってしまい、ジェイありきになっちゃっていた。ボックス内やゴール前のスリリングな展開、観ている人がドキドキするようなサッカーをやり続けないといけない。

 俺らのストロングでもあるし、ジェイの良さを活かすためでもあったんだけど、やっぱり外に頼りすぎていた部分はあって。そこにスルーパスとかラストパスの際どい針の穴を通すようなシーン、そういうのをイメージしたボールがバンバン出てくるともっと面白くなると思う」

 2016年最後の全体練習を終え、名波監督は今シーズンへの展望を語った。そして、新たなストライカーとして川又がチームに加わった。ワイルドな風貌のFWに課された役割は得点だけではない。自身のシュート数増加は、確かに名波監督から課されたものではある。だがゴールに直接関わる仕事は、優先順位としては決して高くなかった。

「堅碁のようなアクティブなFWがいるから、ボックス脇にプルアウェイしながらとか、Uの字を描いて背後に出て行く回数を増やした方がチームのためになる。俺はそういうサッカーが好きだから。動くFWを獲得したのはそこだよね。だから本人にも『年間5、6点でもいいよ』と言っている。その代わり裏に動き続けろ、と」

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