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日本代表 6年前

磐田での1年を経て代表復帰の川又堅碁。まだ覚醒の途中。取り戻したFWとしての怖さ

text by 青木務 photo by Getty Images

新潟で23点を記録して以来の二桁

 毎試合、そして日々の練習から川又の動き出しは質・量ともに高いレベルにあった。決してコンディションが良くない時でも言い訳にせず、DFとの駆け引きに集中した。「足が痛い中で全うしてくれた」という指揮官の言葉は、最大級の賛辞だろう。

 FWとしてゴールに飢えていたのは間違いない。そうした中でも川又は与えられたタスクを忠実にこなした。「俺が点を取って勝てればそれが最高だけど。俺が決めたらチームが盛り上がるのはわかるし」と話したこともある。これは偽らざる本音だろう。

 だからといってエゴに走ることはなかった。「試合に勝つためならチームを優先するし、ジュビロが勝ちゃあいいよ」と口にするほうが圧倒的に多かった。意識を自身ではなくチームに向け、それを仲間もわかっているから最前線で奮闘する男にボールを供給する。

 これまでのキャリアで、川又がネットを揺らした試合はほとんど負けていない。今シーズンも12試合でゴールを挙げているが、敗れたのは第25節・アウェイでの札幌戦だけだ。

「お互いの信頼関係がいいのもあるし、チームが上手くいっている時っていうのはやっぱりFWが点を取ったら負けにくいというのはあるんじゃないかな。でも、みんなのおかげだと思っている。俺がゴールを決めても、みんなが守ってくれるから勝ちに繋がるわけで」

 ボールを引き出すための動き出し、相手DFを背負ってのポストプレー、ファーストディフェンダーとしての献身など多くの仕事を任される中、結果的に得点数も『14』まで伸ばした。アルビレックス新潟時代の2013年に23得点を記録して以来、4シーズンぶりのふた桁である。

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