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Jリーグ 6年前

内田篤人、鹿島復帰で担う使命。7年半ぶり帰還の「背番号2」がつなぐ常勝軍団のバトン

プロの第一歩を踏み出した古巣、鹿島アントラーズに約7年半ぶりに復帰した元日本代表DF内田篤人(前ウニオン・ベルリン)が9日、復活を期す2018シーズンへ始動した。同日に茨城県鹿嶋市内で行われた、チームのシーズン初練習で約1時間半にわたってすべてのメニューを消化。3年前から苦しめられてきた右ひざへの不安はまったくないと強調した内田は、昨シーズンを無冠で終えた常勝軍団を背中で引っ張るために、歴史と伝統が凝縮されたバトンを力強く握りしめる。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

ずっと帰ってきたかったチーム

鹿島アントラーズに復帰した内田篤人
鹿島アントラーズに復帰した内田篤人【写真:藤江直人】

 茨城県鹿嶋市内にある鹿島アントラーズのクラブハウスのミーティングルームへ、約8年ぶりに足を踏み入れた。視界に飛び込んできたのは壁にはられた、クラブのエンブレムがあしらわれた大きなフラッグ。魂が高ぶってくるのを、内田篤人は感じずにはいられなかった。

「18歳になる前から22歳までここでプレーさせてもらって、やっぱりアントラーズのエンブレムや旗を見ると、やらなきゃという気持ちになりますよね」

 2018シーズンへ向けて、アントラーズは9日に始動した。午前中にメディカルチェックを行い、午後3時から約1時間半、ランニングやボールを使ったフィジカルトレーニング、ストレッチなどで汗を流した。内田もすべてのメニューを消化した。

「ずっと帰ってきたかったチームですし、久しぶりにこのグラウンドでアントラーズの一員として練習できるのはすごく嬉しい。懐かしくていい感じです」

 ブンデスリーガのシャルケ04へ完全移籍したのは、清水東高校から加入して5年目の2010年夏。代表メンバーに選出されながら出場ゼロに終わった、ワールドカップ・南アフリカ大会から帰国した直後だった。

 旅立ってから8年。ドイツの地からも常に気にかけていた古巣の顔ぶれも、大きく変わった。当時のメンバーでいまも残っているのは同じ1988年生まれのMF遠藤康と、今年39歳になる2人のレジェンド、GK曽ヶ端準とキャプテンのMF小笠原満男しかいない。2010シーズン限りで引退した大岩剛が、いまでは監督として目の前にいる。

 古巣への合流を前に、いまも親しみを込めて「ヤス」と呼ぶ遠藤から不穏な話を聞かされた。

「ヤスの情報によると、若手がかなりオレにビビっているみたい。全然そんなんじゃないんだけど、今日も距離感がありましたよ。ランニングしていてパッと周りをみたら、誰もいなかったとか。ちょっと寂しい感じがしましたけど、オレ、ドイツでもそんなしゃべるほうでもなかったので。

 ドイツって練習が始まったらみんなピリピリして、ほとんど無駄話をしないから、その癖がついているというか。でも、そんなにベタベタする必要はないと思いますよ。ある程度のチームワークやコミュニケーションは大事ですけど、ここは仲良しこよしのチームじゃないからね」

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