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Jリーグ 6年前

C大阪は誰が出ても強い。J1王者を撃破、誇示した安定感と完成度

text by 青木務 photo by Getty Images

「今日ベンチに入っていない選手でもいい選手はたくさんいる」(清武)

 2点を追いかける形となった川崎Fは、51分に小林悠がPKを決めて1点を返した。しかし、反撃の狼煙とはならない。

 74分、C大阪は中盤でボールを奪うとカウンターを発動。左サイドで途中出場した高木俊幸のクロスをファーサイドで受けた杉本がシュートを放った。そして78分、縦パスをキープしたヤン・ドンヒョンのスルーパスから、斜めに抜け出した高木がネットを揺らして3点目を挙げた。

 川崎Fはアディショナルタイムに大久保が決めたものの、3-2でC大阪が今季初タイトルを獲得した。

 この日際立ったのは、天皇杯王者の安定した強さだった。

「休みも多くなく、練習の期間も長くはなかったが、全ての選手が集中力を保ってやってくれた。今年1年通してやっていかないといけない部分を選手たちが示してくれた」

 尹晶煥監督はイレブンをたたえた。さらに指揮官は「今日先発した11人だけでなく、全ての選手を起用し、勝利に繋げていく。そういう試合を続けていきたい」と言う。主力、控えに関係なく高いレベルで戦うことを求めている。実際、埼玉スタジアムでのC大阪は交代選手も含めて持ち味を発揮し、チームの力となっていた。高木俊幸はゴールを決め、ヤン・ドンヒョンも前線のピースとして可能性を示した。

 ACLとJ1を並行して戦う今季、C大阪はチームの総合力が問われることになる。

「今日来られなかったメンバーの力が絶対に必要になるので、みんなで一つになって戦いたい」

 杉本健勇が強調すれば、清武弘嗣もこう語る。

「今日ベンチに入っていない選手でもいい選手はたくさんいる。いい競争をしながら誰が出ても同じようなサッカー、選手の特徴を活かせるサッカーを目指していきたい」

 そして、指揮官は「成長していかないといけない部分ある」としつつ、「誰が抜けても入っても、しっかりとした試合ができるという自信がついたと思う」と確かな手応えも掴んだ様子だ。

 過密日程での戦いにおいても、C大阪は安定した強さを見せるのではないだろうか。

(取材・文:青木務)

【了】

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