移籍市場の裏で暗躍する代理人ビジネスの実態。サッカー界を支配する「カネ」と「コネ」

今冬の移籍市場ではプレミアリーグ勢の積極的な投資が目立った。しかし、その裏で糸を引いていたのは敏腕代理人たちと言ってもいいだろう。近年、その存在感を増すサッカー界の“裏の支配者たち”の実態とは。現在の移籍市場の仕組みが露呈する大きな問題点も見えてきた。(取材・文:松澤浩三【イングランド】)

2018年02月16日(Fri)10時51分配信

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo Getty Images
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プレミアは「カネ」よりも「ステータス」の時代へ

プレミアリーグ
今冬のプレミアリーグでは大型移籍が次々に成立した。支出は過去の比にならないほど大きい【写真:Getty Images】

 4億3000万ポンド(約670億円)。プレミアリーグのクラブが、今冬の移籍市場で費やした総額だ。これまでの最高記録だった2011年の2億2500万ポンド(約337億円)を大幅に上回る額である。

 今回特に話題となったのが、「ビッグ6」と呼ばれる上位6クラブ(マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、リバプール、トッテナム、アーセナル)が投下した金額。昨年は2900万ポンド(約43億円)だったのに対して、この1月には2億6500万ポンド(約397億円)を投じている。

 まず動いたのがリバプール。市場が開くと同時にディフェンダーでは史上最高額となる7500万ポンド(約112億円)を支払ってサウサンプトンからフィルジル・ファン・ダイクを強奪した。

 続いてシティも5700万ポンド(約85億円)を費やしてアスレティック・ビルバオからエメリック・ラポルト獲得に成功し、市場が閉幕する1月31日には、アーセナルがドルトムントからピエール=エメリク・オーバメヤンを5600万ポンド(約84億円)で獲得している。

 もちろん、上記の「4億3000万ポンド」にはアレクシス・サンチェスとヘンリク・ムヒタリアンのトレードは含まれず、ユナイテッドがサンチェスに支払ったといわれる巨額の契約金も含まれない。それでは、この激変ぶりはどこから来たのだろうか。

 中堅以下のクラブにとって、プレミアリーグのステータス維持は経済的な死活問題であると同時に、クラブの名声を保つ観点からも大きな意味を持つ。これらのクラブが降格を免れるために冬の市場で積極的に補強を図るのはそのためである。一方、一部の識者によると、 “チャンピオンズリーグ(CL)のクラブ”という肩書がビッグ6にとってはこれまで以上に重要になってきているという。

「例えばユナイテッド。彼らは2015/16シーズンから2年連続でCLから外れたが、それが大きな原因となり狙った選手たちが(オファーに)関心を示さなかった。あのマンチェスター・ユナイテッドなのに、だ。当時のユナイテッドにはクラブを上に引き上げることができる選手が必要だった」

 プレミアリーグのクラブ買収のコンサルティングにも携わるなど、フットボール経済に明るいトム・マルカム氏が、昨今の移籍市場について討議するラジオ番組で語った見解だ。

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