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Jリーグ 6年前

J2岡山の敏腕社長がJ専務理事に。仰天人事から見える村井チェアマンの青写真

text by 藤江直人 photo by Getty Images, Yasuhiro Suzuki

岡山の空気を変えたファジアーノの成功

ファジアーノ岡山
ファジアーノ岡山の本拠地シティライトスタジアムは顧客満足度が非常に高いことで知られる【写真:Getty Images】

 JR岡山駅からバスで約5分、徒歩で約15分とまずまずのアクセスにある同スタジアムは、2005年の岡山国体に合わせて整備されていて清潔感にあふれていた。ならば、訪れてよかったという付加価値をつけるしかない。

 スタジアム前広場にずらりと並んだグルメ店の数々は、いまでは「ファジフーズ」と呼ばれ、全国のスタジアムの中でも屈指の美味しさという評価を受けている。そして、サポーターを表す特別なクラブ創設「12」年目の2015シーズンと、株式会社設立から10年の節目となる2016シーズンを『Challenge1』と位置づけた。

 ホームの平均入場者数を1万人に到達させる一大プロジェクトは果たして、ザスパクサツ群馬を迎えた2016年11月20日のJ2最終節に1万5204人が駆けつけたことで見事にクリア。この試合を引き分けたファジアーノは6位に食い込み、クラブ史上初のJ1昇格プレーオフ進出を決めた。

 準決勝で松本山雅FCを撃破した快進撃の軌跡は、決勝でセレッソ大阪に惜敗して幕を閉じた。土砂降りの雨が降り続いたキンチョウスタジアム。無念の表情を浮かべていた木村氏に、どうしても聞きたいことがあった。岡山の街は変わってきているのでしょうか、と。

「それは確かに感じます。もっともっとこの輪を広げていくのが、僕らクラブの務めだと思っていますし、この幹が大きくなればいつかはセレッソを倒せるクラブになると思います」

 決戦のキックオフを数時間後に控えていた中で、木村氏は練習拠点である政田サッカー場の周囲をジョギングしている。実はそれまでもジョギングした時は、だいたいファジアーノがリーグ戦で勝利している。いわゆる験担ぎの思いも込められていたが、そのときは周囲の状況がいつもと違っていたという。

「ファジアーノへの期待が、いたるところから聞こえてきたんです。いままで地域リーグからJFL、JFLからJ2へ昇格するときには、おそらくほとんど興味を持たれなかった。それがJ1へ昇格間際のところで、あるいは昇格した後に興味をもってくださっていると思わずにはいられませんでした」

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