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Jリーグ 6年前

横浜FMの喜田拓也、6年目の進化。アンカーで感じる「面白さ」、勇気と挑戦の体現者に

アンジェ・ポステコグルー監督の就任とともに、革新的な戦術の導入へと舵を切った横浜F・マリノス。その中でも下部組織出身でトップチーム昇格6年目を迎えるMF喜田拓也が、中盤の攻守を司る新スタイルの象徴的存在へと飛躍を遂げようとしている。(取材・文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Getty Images

アンカーで体感する周囲を動かすことの重要性

喜田拓也
横浜FMでプロ6年目を迎えるMF喜田拓也はアンカーという新たな役割で奮闘している【写真:Getty Images for DAZN】

 横浜F・マリノスで下部組織からトップチームに昇格して6年目。MF喜田拓也は、アンジェ・ポステコグルー新監督の就任にともなって、選手として新たなステップへ踏み出すための進化の過程にいる。

 先月25日のJ1開幕戦から2試合連続で先発出場した背番号5が務めたのは、4-3-3システムのアンカーだった。逆三角形で組んだ中盤の底に入る、チームの心臓部である。攻守にわたって常に存在感を放ち続けることが求められるポジションでもある。

「チャンレジして見えてくることも絶対にある」

 リーグ開幕前、喜田はそう語っていた。プロ2年目まではほとんど出場機会を得られていなかったが、風向きが変わったのはエリク・モンバエルツ前監督の就任だった。トップ昇格3年目となった2015年にレギュラーポジションを獲得すると、前体制ではダブルボランチの一角として継続的に出場を重ねた。今季中にもJ1通算100試合出場が視野に入るところまできている。

 今季の喜田が取り組んでいる「チャレンジ」は、アンカーとしての新たな役割につながる。ダブルボランチの場合、常に横に誰かがいた。だが、インサイドハーフの2人がより攻撃的に振る舞う今季、常に周囲のサポートを受けられるわけではない。守備では中盤の砦として、攻撃ではボールポゼッションの起点としての役割を1人でこなさなければならない。

「今までとちょっと感覚が違うところもあります。それこそ(味方が)近くにいない時の受け方と、サポートがいる時の受け方は違ってくるので、そういうところの微調整も大事。うまくチームを回していくため、自分が(パスを)受けられなくても相手を動かすことができる。それもアンカーの面白さかなと思っています。自分が受けずとも(チームを)回すことの面白さもちょっとずつ出てきています。そうやって自分のポジションで相手を動かすことにもチャレンジしていきたい」

 相手のプレッシャーやマークを1人で受け止めるアンカーの場合、やみくもにボールを受けようとすれば、守備側から見れば恰好のターゲットになってしまう。喜田は「間違いなく自分のことを消してくるチームもあると思う」とも理解しており、逆にあえてゲームから“消える”ことも意識するようになった。

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