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Jリーグ 6年前

広島・川辺駿、アジア王者を翻弄。帰還した男に芽生えた中心選手としての自覚

text by 青木務 photo by Getty Images

広島は様々な可能性を模索している段階

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トップ下に移って輝きが増したのは間違いない【写真:Getty Images】

 さらに79分の逆転ゴールも、川辺の仕掛けから生まれた。相手のトラップがずれたところを突いてファウルをもらう。リスタートを前線でパトリックが頭で落とすと、トップ下が持ち込む。自身のシュートはブロックされたが、走り込んだ稲垣祥が気迫で押し込む形となった。

 2得点に絡み勝利の立役者の一人となったMFは、88分に交代を告げられ役目を終えた。ベンチに戻ってからも戦況に一喜一憂し、試合終了のホイッスルを聞くと、チームメイトと抱き合って喜びを表現した。

「やっぱり、トップ下に入ってからは自分の持ち味が出たかな」

 川辺は得意とするポジションでのプレーへの手応えを口にする。その能力をフルに活かせるのは、ボランチを含む中央のエリアだろう。しかし、広島は最適解を求めて様々な可能性を模索している段階だ。「一番考えなければいけないのは、このチームの最大値を出すということ」とは城福監督の言葉だ。さらに、指揮官はこうも語っている。

「もちろん我々はボールを握りたい。年間を通じてそういうチームになりたいが、強固な守備がなければリーグ戦は戦えない。システムを含めた守備のやり方はもちろんやっていかないといけない」

 目指すスタイルはあるが、それに固執せず現状でベストな戦い方を選択しているようだ。川辺は右サイドで出場しているものの、ポジショニングに関して自由があるのも事実。課されたタスクを全うしながら自身のクオリティを発揮できており、4年ぶりに復帰した広島でも欠かせない存在となっている。

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