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日本代表 6年前

ハリルの指示「聞きすぎ」で混乱。酒井高「監督はピッチで助けてくれない」。求められる自己解決力

現地時間23日に1-1のドローで終わったマリ戦。日本代表のプレーからは迷いが見られた。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の指示とピッチ内での選手たちの意図が合わない。そういった場面で発揮すべき能力とは何か。停滞から抜け出すために必要なことが、選手たち自身の言葉から見えてきた。(取材・文:元川悦子【リエージュ】)

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「考えながらプレーしている選手が多いのが一番の問題」(大迫)

大迫勇也
大迫勇也らロンドン五輪世代がチームの中心的役割を果たすことが求められる【写真:Getty Images】

 2018年ロシアワールドカップ予選敗退のマリに敗戦寸前まで追い込まれた23日の日本代表。後半アディショナルタイムに中島翔哉(ポルティモネンセ)の劇的同点弾が生まれて何とか1-1に持ち込んだものの、不完全燃焼感が色濃く残る一戦になってしまった。

 直後にパリまで移動し、ワールドカップ本大会初戦の相手・コロンビアがフランスに3-2で逆転勝利を収めるところをその目に焼きつけたヴァイッド・ハリルホジッチ監督の衝撃は大きかったはず。一夜明けた24日、トレーニング前の13分間にわたるミーティングで選手たちを激しく鼓舞していたのも、強い危機感の表れだろう。練習時間も現体制最長となる1時間45分。本田圭佑(パチューカ)ら前日のサブ組には大勢のメディアや観客が見守る中、1対1のデュエルを行わせるなど、指揮官はチーム立て直しに躍起になっていた。

 マリ戦後には長谷部誠(フランクフルト)と長友佑都(ガラタサライ)の両ベテランが「このままじゃロシアでは勝てない」と苦言を呈したが、彼らがそこまで発言するのは滅多にないこと。チーム内外へのインパクトは大きかった。

 最終ラインをリードした槙野智章(浦和)は隣に位置した長友と2人で話し合う時間を持ち、「2010年の南アフリカの時のような戦い方をするのか、自分たちが攻撃を掲げた2014年ブラジルみたいな戦い方をするのか、その整理をみんなで共通意識を持ってやらないとバラバラになってしまう危険性がある」という長友の考えを聞いたという。それを踏まえて、自ら率先してコミュニケーションを取っていく必要性を再認識した。

 彼ら30歳超えの年長者たちにリーダーシップや統率力があるのは、誰もが認めるところ。とはいえ、今の日本代表はブラジルワールドカップ経験者の山口蛍(C大阪)、大迫勇也(ケルン)、酒井高徳(ハンブルガーSV)らロンドン五輪世代が中心だ。彼らが主体性を持ってアクションを起こさなければチームの抜本的改革は難しい。いつまでも年長者に頼っているわけにはいかないのだ。

 マリ戦に先発出場した大迫は、「監督もメンバー選考に関して『まだ』という段階で、毎回変わっている感じなので、時間が経てば連係面は大丈夫だと思う。ただ、本当に本気でみんなが良くしていこうと思わないと良くならない。危機感を持ってやるしかない。今は悩みながら、考えながらプレーしている選手が多いのが一番の問題。その迷いが今、良くない方向に向かっている。考えずにプレーできればもっともっと変わっていく」と、チームが置かれた状況を冷静に分析する。

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