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日本代表 6年前

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text by 元川悦子 photo by Getty Images

今一度、1人ひとりが勝利への自覚を

アンドリー・シェフチェンコ
ウクライナ代表の監督は同国の英雄アンドリー・シェフチェンコ。勝者のメンタリティを持つ男だ【写真:Getty Images】

 代表経験の少ない植田や柴崎、杉本、ウクライナ戦はベンチに座るであろう久保裕也(ヘント)や中島翔哉(ポルティモネンセ)らはより自覚を強めてほしい。久保は「僕は個人のことしかあんまり考えていない。自分自身をもうちょっとレベルアップしていくことが一番大事」と話したが、たとえ言葉や態度での発信力は低くても、ピッチ上でチームを勝たせる明確な仕事をしてくれればそれでいい。若い世代に決め手のある人間が次々と出てきてくれれば、それこそ日本サッカーの近未来に希望の光が差し込むはずだ。

 振り返ってみると、2010年の南アフリカワールドカップで崖っぷちの状態からベスト16進出という劇的な変化を見せることができたのも、当時の若手だった本田、長友、岡崎慎司(レスター)らが活躍し、チームに新たな風を吹き込ませたことが大きい。マリ戦で唯一の希望となった中島はそういう自覚を持っている数少ない選手。彼に追いつけ追い越せで、リオデジャネイロ五輪世代にはギラギラ感をもっと出してもらいたい。

 本田が「勝者のメンタリティを持っている」と最大級の賛辞を贈るアンドリー・シェフチェンコ監督率いるウクライナは、ロシアワールドカップこそ出場権を逃したものの、21歳のオレクサンドル・ジンチェンコ(マンチェスター・シティ)やベルギーで活躍中のルスラン・マリノフスキー(ヘンク)などタレント揃い。

「日本のようにタテに速いチームにはコンパクトな守備を見せなければならない」と指揮官もコメントしていた。その通りに来るのであれば、逆に相手の背後を取れる可能性も高い。マリ戦の前半はチャンスを作りながら久保や宇佐美貴史(デュッセルドルフ)が決定機を逃したが、決めるべきところで決めることがより重要になるだろう。

 ウクライナのようなワールドカップ出場国レベルの欧州勢は何度もチャンスを与えてはくれない。攻撃陣は「数少ないチャンスを仕留める力」、守備陣は「1つのゴールも許さない集中力」。そこに徹底的にこだわって、負のスパイラルから抜け出すこと。1人ひとりが真剣に向き合い、貪欲に勝利に向かう日本代表を今一度、取り戻したいところだ。

(取材・文:元川悦子【リエージュ】)

【了】

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