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日本代表 6年前

吉田麻也、ハリル解任にも泰然自若。正念場で監督交代も…ブレない心を育んだクラブでの経験

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

監督交代で見えた“ぼんやり”の先

吉田麻也
吉田麻也は今季、所属するサウサンプトンでも監督交代を経験している【写真:Getty Images】

 ペジェグリーノ前監督が何を見て、どこを目指していたのか。筆者にはまるで分からなかった。そのため、今季は以下のような質問を吉田に何度かぶつけていた。ブライトン戦後も同様だった。

「やりたいサッカーがわかりにくく“ぼんやり”しているが、選手としては監督の指示どおりにプレーできているのか?」
 
 この頃には、たぶん吉田を含めた選手たちは分かっていたはずだ。今季の低調なパフォーマンスは、ペジェグリーノ前監督の指導が原因だったことを。もちろん吉田は、それを口に出すことはなかった。

 前述のトッテナム戦後には、監督交代をして調子を崩したことにも触れ、「監督を解任することがいつもベストな選択だとは限らない」とも述べている。そのため、上記の質問に対しても、慎重に言葉を選んで話をしている。

「まあ、すべてがうまくいっているわけではない、やっぱり。これだけ勝てないと、そういうことだと思うし。もちろん監督だけのせいではないし、選手の個々の問題でもあるだろうし。でも本当に細かいところ、本当にちょっとの差だと思う。ただ明らかにチャンスをクリエイトする数が少ないし、作れる選手が少ない」

 このおよそ6週間後の3月12日。降格ゾーンとわずか勝ち点1差の17位に転落したタイミングで、ペジェグリーノ前監督は解任される。今季の吉田は「1つのきっかけがあれば」という言葉をしばしば口にしてきたが、これもまたきっかけになると思われた。マーク・ヒューズ新監督が就任した最初の試合で、セインツは0-3と大敗を喫する。

 その後も勝ち星に恵まれないサウサンプトン。今は降格圏内の18位で、17位にいるスウォンジーとは勝ち点4差をつけられ、絶体絶命の状況にある。それでもチーム状況は上向いている。ヒューズ監督就任以来、3バックで後ろをタイトにしたうえで速攻から敵のゴールを襲撃するという、戦術的な指針は明確になった。

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