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日本代表 6年前

今こそ問われる香川真司の覚悟。笑顔取り戻し、完全復活で懐疑論を吹き飛ばせるか

text by 元川悦子 photo by Getty Images

「危機」を乗り越えて笑顔取り戻す

 最終登録メンバー23人が正式決定直後のリスタートということで、当落線上と見られたベテラン勢は一様に清々しい表情を浮かべていた。とりわけ、香川真司(ドルトムント)の満面の笑みは見る者の目を大いに引いた。2人1組でコンビを組んだ長友のことを「部屋が隣で、うるさいくらい歌を歌ってるんで、それがちょっとストレスになるかな」といじる余裕をのぞかせたのも、5月下旬の国内合宿時との大きな違い。「落選危機」と言われた代表人生最大の苦境を脱したことで、ようやく彼もロシアに全力で向かえる精神状態になったのだろう。

 この日のゲーム形式ではまたも主力組から外れたが、「ガーナ戦翌日を含めてリバウンド的なものであったり、体の張りであったりはほぼなかった。そういう意味では非常によかった」と本人は2月から5月に苦しんだ左足首痛の状態が良好であることに一応の手ごたえをつかんだ様子。ボルシア・ドルトムントでも毎年オーストリアでの高地合宿を実施しているため、ここからのコンディションの上げ方にも自信があるようだ。

 実際、4年前のブラジル大会直前はコスタリカとザンビア(ともにタンパ)とのテストマッチで連続ゴールを挙げ、好調を維持していたが、本番になってパフォーマンスが急降下。グループリーグ第2戦のギリシャ戦(ナタル)ではまさかの先発落ちの屈辱も味わった。そんな苦い過去があるから「本当の勝負はここから」ということが身に染みて分かっている。その経験値は香川の大きな助けになるはずだ。

 今回のメンバー23人は、南アフリカワールドカップ経験者が5人、ブラジルワールドカップ経験者が11人というベテラン中心の陣容になったことで、世間からは「おっさんジャパン」などと呼ばれ、批判的な見方をされているのも事実だ。長友がツイートで「年齢は関係ない」と反論したことで炎上する騒ぎに発展。クラブで公式戦から3ヶ月も遠ざかりながら最終リストに名を連ねた香川への視線も厳しさを増している。

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