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大島僚太が受け継ぐ系譜。日本の新たなマエストロ、サッカーの原理を知る和製イニエスタ【西部の目/ロシアW杯】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

ハリルも渇望した大島の進化

 ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の下、大島はなかなかブレイクできなかった。招集されるたびに負傷していた。以前、ハリルホジッチは「日本に真のフットボーラーは3人しかいない」と話していたものだ。中村憲剛、中村俊輔、遠藤保仁だ。

 しかし、ハリルホジッチはその誰一人として日本代表に招集しなかった。年齢的にロシアワールドカップでプレーさせるのは難しいと考えていたのだろう。日本のワールドカップでの戦いを想定すると、守備ができないMFを使うのは無理だと考えていたに違いない。

 大島は「発見」だったと思う。若いマエストロは守備を覚える時間、フィジカルを上げる時間があった。大島はぎりぎりでワールドカップに間に合った。その日を待っていただろうハリルホジッチは解任されてしまったが、西野朗監督はこの手の選手の扱いには慣れているはずだ。自身も似たようなプレーヤーだった。

 日本はインサイドハーフの人材には困っていない。およそどの時期にも、このポジションだけは人材がいた。つまり、日本の強みになりうるポジションといえる。大島と柴崎岳、ロシアではこの2人がカギを握っているのではないか。

(文・西部謙司)

【了】

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